似た者同士だと思っていたら、実は活発で元気な美少女だった
たばし
第1話 最初の友達は美少女だった
──母さんは昔から
人は誰かと仲良くする際、その人の第一印象で決めようとする。ここで言う第一印象とは「見た目」のことだ。
その人の内面情報を知る前に「あの人はカッコいい」や「あの人は地味」と、視覚情報だけで判断して差別するのは、人の悪い
だからこそ、俺「
もちろん、俺は人を見た目で判断するようなやつとは絶対に仲良くしようとは思わなかったが。
高校に入るまでもずっとその姿勢で過ごしてきたからか、友達は一人も存在せず、常に一人ぼっちで歩んできた。
元々、暗い性格をしていたのが多少なりの原因でもあるが、それならば似たような人と仲良くなれるのでは……と思った。
──しかし、現実はそう甘くはなかった。
俺は別に、友達が出来ないことが「苦」だとは一度たりとも思ったことは無い。
人として当然のことをし、当然のように振る舞っていたからだ。それのどこに「苦」という感情を覚えるのだろう?
「────ってば」
俺は悟りを開いた訳でもなく、人としての感情を失った訳でもない。ただ、お母さんに教えられた通りに生きてきた。
「──みや────てるの?」
俺にとって母さんとは偉大な存在だ。今日まで俺を見捨てること無く、女手一人で俺を育ててきてくれた。将来は絶対に親孝行を──
「あ・ほ・み・や! 私を無視しないでよ!」
「おい誰が『あほみや』だ。弁当の具材、全部食べてやろうか?」
人が気持ち良くボーッと考え事をしていたのに、よくも遮ってくれたな。
……いや、俺は確かこの少女から相談を受けていたような?そうだとしたら、悪いことをしてしまった。
「またボーッとしてたでしょ! 私の話を聞いてたの?!」
「聞いてた聞いてた。確か『トビウオが飛べなくなったら、ただのウオになる』って話だよな?」
「そうそう! 名前が『ウオ』だけになるってそれ、ただの魚……って違う! 全く聞いてないじゃん!」
「…………」
肩をくすぐるぐらいまで伸ばした黒色の髪に、
「はぁ……
「もしかしたら、裏では人気だったり──」
「絶対にない」
高校に入るまで異性とまともに話したことすらない非リアな俺が、裏でモテるはずがないのは十分理解している。
でも、いざ異性から「絶対にない」と否定されると、少し悲しいな。
「そんなんだから、彼女もできないんだよ?」
「……彼女はいる」
「え……嘘……? 嘘だよね?」
「うん、嘘だけど」
これで本当に彼女がいたのなら、俺は世界で一番恵まれていると言ってもいい。
何の取り柄も無い俺に付き添ってくれる優しい存在の人なんて、家族以外この世にはいないだろう。
「もう……もう! 嘘付きはどろぼうの始まりだよ!」
「悪かった、悪かったから俺を殴らないでくれ……」
どうして俺が殴られないといけないのかは分かりかねるが、嘘を付くのは確かに良くなかったな。
それで誰も傷付かなければいいのだが、時には無意識に傷付けてしまう可能性もある。そのような人にだけは、なりたくない。
「もう……でも、そうかー……彼女いないのかー……ふーん」
「悪かったな、いなくて」
別に彼女が欲しいとは思ったことはないが、実際に付き合ってみると、人生がより一層楽しく思えるのだろうか?
一緒に買い物をしたり、ご飯を食べたり、遊んだり、駄弁ったり……案外楽しいのかもしれない。
「でも、
「……俺って優しいのか?」
「当たり前じゃん! だって、あの時の私に声をかけてくれたからさ! 私、嬉しかったんだよ?」
「…………」
あれが優しいに入るのかは分からないが、
それが今では、クラス中の男子から好意の視線を注がれ、女子の一部は仲良くしようとホイホイ寄ってくるのだ。
どうして、今頃になって人気が出だしたのか?その答えは、入学当初の
──俺が最初に見た
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