アプレゲールの一幕


琉球武術の武器術にはトンファーがある、ハンドルに棒をつけただけでも強い武器。


だが、その禍々しい凶器の棒の部分は棺桶だ、慟哭が絶えず内部で乱反射する武器。


それが両手にそれぞれ二つ持たれている。


忌まれたルーン、死のルーンが刻印された、出典ソースはいつぞや気まぐれに買った本だ。


格好は間違えようのないナチスの軍服。


髑髏の鷲の紋章ライヒスアドラーの腕章。


青白い肌、白銀の銀髪の女軍人。


両目は充血したかのように真っ赤だった。


陰部から愛液が毒々しく垂れる腐敗臭がした、もはや死体の腐敗ガスさえする。


狂おしいまでに殺気に満ちたゾンビだった。


広島長崎の原爆、日本各地の空襲爆撃。


隣人が次の瞬間死体になる戦争の戦後だ。


それを新世代無秩序派アプレゲールといい、その時代の犯罪をアプレ犯罪と言う。


「あれを死霊魔術師ネクロマンサーと言う」


その悪意を前にして男が二人いた。


一人は知られざる陰陽師、有名無実な拝み屋や霊媒師が多い中、実力だけは確かだ。


それがその神秘オカルトを看破した。


もう一人は右手の片手で喫煙をしながら左手の片手をピストルの形にした男、関西のミームでそれで撃たれたとされたら倒れこむお笑いの風習がある。


だが、もはや、それは笑えない代物である。


なけなしの水筒の水でその手を湿らせた。


「バキュン」


濡れた水が弾丸の形となって撃ち出された。


謎のナチスの脳天を撃ち抜いた。


「戦争は終わったんだよ、クソアマ」


うんざりとしながら、彼は嘆息した。


片割れの知られざる陰陽師は攻撃的だ。


あらゆる魔を魔界に退かせるどころか魔でさえ殺す覚悟で満ちていた。


「六大凶殺・五黄殺ごおうさつ、お前は呪われた」


その男はお札さえ使わずに呪い終えた。


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