素行症?


「お前は弱い」


発狂の起因にしては稚拙チープだった。


彼は大悪魔ダエーワ憑きである、アエーシェマ、アヴェスター語で「狂暴」を意味する。 ザラスシュトラ直説とされる宗教詩『ガーサー』にもその名の現れる由緒ある存在である。 暴力を司る者として毛むくじゃらの体と血塗られた武器を持った姿で表される。


対する彼、眉目秀麗、中性的、悪く言えば女顔。


不気味な美貌、シュブ=ニグラスが雄々しい男性としての側面もあり、他の生物を孕ませる事も可能である。人間の女性と交わる事で発狂させてしまう代わりに、人外染みた美しさと不気味さを備える子を宿らせるとあるが、まさに、そのような妖しさである。


ただ、更に悪く言えば男らしくない。


女々しい。だからこそ格好の的になる。


有り体に言えば奇形に見える。


その後もその狂った電気信号は残留する、そして、その全てを彼は返り討ちにした。


お礼参りをお礼参りしてお礼参り。


ポピュラーな不良としての生業。


しかしながらそれらは実は正当防衛だ。


素行症?


「窮鼠猫を噛むって言うね」


ボケた老人の戯言が一番癇に触った。


「お前は渋谷の麻薬中毒のチンピラで終わる」


彼の父親の言葉、箴言である、付け加えた言葉はこう聞こえたらしい。


家出しても必ず連れ戻す地獄の果てまで追いかける


学習性無力感という心理学用語もある。

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