お笑いバトルロワイヤル
凹田 練造
お笑いバトルロワイヤル
幕があがると、ステージの中央にいる笑いの神、スベルトシバクゾが、おごそかに宣言する。
「ただ今より、第六千四百二十一万八千七百七十回、お笑いバトルロワイヤルを開幕する」
『さあ、最初に登場するのは、とっちゃんボーヤ二世だ』
「大阪の人は、食べ物にうるさいですよね。
たこ焼きにタコが入ってないとか、たい焼きにタイが入ってないとか」
『続いて登場するのは、中之島ダウン・タウンの御両人』
「中之島ダウンでーす」
「中之島タウンでーす」
「自分、自分のことを、自分、ゆうやん」
「自分かてそうやん」
「けど、自分、相手のことも、自分、ゆうやないか」
「いや、自分かて、そうやって」
「いったい、どっちが本当の自分やねん」
『ウルトラセブンの弟子で、ウルトラコブンだっ』
「知ってます? バカリズムさん。下から読むと、むずりカバ、になるんですよ。
それから、スガシカオさん。下から読むと、お菓子ガス、になるんですよ」
『ハットトリックハットリくんだっ』
「形が似ているから、見分けるのが難しいんですよね、おぎやはぎ、は。
いや、だから、形が似ているから、見分けるのが難しいんですよね、『荻』や『萩』、は」
『続いて登場するのは、ニンジャナンジャ』
「みなさんは、工場にひをつけたことがありますか。私は、あります。
いや、本当なんです。本当に、あまりにも頭にきたので、工場にひをつけてやったんです。
そうしたら、何になったと思いますか。
答えはもちろん、飛行場、です」
『チントンシャン兄弟だ!』
「『とんねるずのみなさんのおかげでした』の「食わず嫌い王決定戦」で、よく知らないのを隠すため、インターネットで調べまくって、その知識でやたら喋りまくる、大杉(おおすぎ)って技があるんですよ」
「じゃ、反対に、あんまり喋ると知らないのがわかっちゃうから、できるだけ喋らないようにするのを、少なすぎ、って言うんだね」
『次は、ズッケンバッケンの二人だっ!』
「拷問のことを、英語で、トーチャー、っていうんだよ」
「なに! トーチャーにも拷問されたことないのに!」
『ツッケンドンブリの登場だっ!』
「このごろ、腰が痛くって」
「この間、整骨院の先生が、言ってたよ。
おこしをお待ちしております、って」
『次の出番は、ズーズーシーズだっ!』
「TBSの女子アナ、江藤愛っていったら、どんなイメージ?」
「そりゃ、ボインのイメージだよ。江藤愛っていったら、ボインのイメージしかないよ。
シインっていったら、えとうの「と」のTぐらいだろう」
『さあ、イチャイチャモンの登場だっ!』
「森博嗣の小説、『すべてがFになる』。
残酷なシーンがあるのと、島全体が一つの基地になっているスケールの大きさとから、映像化は不可能なんじゃないかと思っていたんだけど。
テレビドラマで、作者と同郷の、武井咲さんが主演することになって、すべてがえぇふぅ(ええ風)になりましたね」
『次は、ズタボロシンガーズだっ!』
「艱難辛苦。とってもつらくて、たえがたいことですね。
艱難なんじをを玉にす、なんて言葉もあって、つらいことを乗り越えることで、強くなれるってなことですね。
でも、与えられた艱難辛苦が、予定されていたレコードが、発売直前に販売中止になってしまうという、あまりにもむごたらしいものだったので、次の曲で、
『〽か(ん)な(ん)し(ん)くて、かなしくて、とてもやりきれない』という歌を出した、グループもありましたね」
『さあ、続いては、トゲトゲデンジャラスだっ!』
「爆笑問題の、太田光さんは、「おおたひかり」と読みますからね。
これを、「ふとったひかる」と読むと、伊集院が怒りますからね」
『さあ、ウッピョンマッピョンの登場だっ!』
「オレは世界一のハンサムだ。
間違いない!」
「あ、トシちゃんとヨッちゃん、みたいなもんですね」
「トシちゃんとヨッちゃん?」
「あっ! マッチがいない!」
『それでは、トンチ列車だっ!』
「抗酸化作用って、知ってるか?」
「うーん、ちょっと待って」
「わかった?」
「いや、もう少し」
「もう待てない。
こうさんか?」
「さよう!」
『次は、クジュグジュナックルだっ!』
「綾瀬はるかさんの時代劇映画、『ICHI』、よかったですね」
「きっと、この映画が大ヒットしたら、スタッフは続編を作るつもりだったんじゃないでしょうかね。『NI』、とか、『SAN』、とかいう」
『ボロゾーロの登場だっ!』
「京浜急行のCMで、『京急フォー・ユー』っていうのが、ありますよね。
クリームシチューさんも、京浜急行のCM、長いですからね。
上田さんもゆうゆう、有田さんもゆうゆう。
ゆうが4つで、フォー・ユー、ってことなんでしょうね」
『続いて、ブロッケンバックユニットだっ!』
「マツコ・デラックスさんが、テレビで、股間に霜がたつ、って言ってたよ」
「しもネタじゃねえか」
『さあ、バナナルートの登場だっ!
「レ・ミゼラブル。残酷な運命に、主人公が翻弄されるお話ですね。」
「ああ、運命が、巨大な腕のように、私をつかんでしまう」
言いながら、片手をクレーンのような形にして、つかむ真似をする。
反対の手で、それを指さして、
「これを、アーム状、と言いまして」
『続いて、ボンビレン人間だっ!』
「よく、可愛いアイドルとかを見た人が、『食べちゃいたいくらい可愛い』って、言いますよね。
でも、本当に食べちゃったら、そんなには美味しくないんじゃないかと、思うんですけどね」
『ブリュリョンリョンの出番だっ!』
「日本人は、なんでも略そうとしますからね。
ドリームズ・カム・ツルーさんだったら、ドカツル、とか。
エブリ・リトル・シングズさんだったら、エリシン、とか」
『ムゾポルテの登場だっ!』
「オードリーの、春日俊彰さんは、ものすごい倹約家なんですよね。
なんてったって、湯水を金のように使いますからね。
手を洗うのに3滴使ったとか、お皿を洗うのに5滴使ったとか、帳面に書いてますから」
『さあ、ユートコーカだっ!』
「磯野貴理子さんは、女優さんですからね。
女優さんにも、ピン子から貴理子まで、ありますからね」
『さあ、ページニュートラルの出番だっ!』
「かつて、『クイズタイムショック』、という番組がありました。
わずか1分間に、12問の問題が出題され、全問正解すると、なんと、賞金100万円がもらえたんですよ。
これ、時給にすると、6000万円ですからね!」
『次は、デルモンカ!』
「ハナ肇とクレイジーキャッツ、って、おかしいと思いませんか。
ふつう、赤と黒、っていったら、赤と黒とは、別の色ですよね。
裕子と弥生といえば、裕子と弥生とは、ぜんぜん別の人物ですよね。
これは、ハナ肇はじめクレイジーキャッツ、って言うべきなんじゃないでしょうか」
『さあ、パンダビルトの登場だっ!』
「お惣菜、美味しいですよね。
ぼくも、遅くてウザいので、おそうざい、と呼ばれることがあるんですよ」
『ゼレッテソーダのお二人だっ!』
「キャン・ユー・セレブレイト、って、ありゃなんじゃい」
「あんた、また、そんこと言うて」
「あなたは祝福することができますか。
もっと前に確認しとけ!」
「あんた、そういう歌なんだから」
「あなたは、今夜、私に接吻をすることができますか。
お前は怪獣か」
「だから、みんな不安なんですよ」
「永遠ていう言葉なんか知らなかったよね。
学校で何を教わってきたんしゃい」
「あんた、そんなこと言うて」
「責任者、出てこい!」
「あんた、そんなこと言うて、ほんまに出てきたら、どないしますの」
「謝ったら、しまいや」
『次は、ポーロルーラマーレの登場だっ!』
「サバンナの、八木真澄さんのギャグの中で、一番好きなのは、『30(さんじゅう)』というギャグなんですよ。
もう、まったく、なんの意味もないところが、ナンセンスでいいんですよね。
たとえば、『ブラジルの人ー、聞こえますかー』なんていうギャグだと、なんかの拍子に、ブラジルの人に聞こえないとも限らないですからね。
ブラジルのテレビ局が、『世界のバラエティーショー』なんていう番組を、放送しないとも限らないですしね」
『続いて、シャッキャンナキャナキャだっ!』
「もう、私ぐらいになると、全国にその名がとどろいていますからね。
北は北千住から、南は南千住まで、全国津々浦々」
『次は、ペチペチピーチだっ!』
「森七菜、と書いて、もりなな、と読みますからね。
これを、キキキナナナ、と読むと、いい病院を紹介しましょうか、とか言われちゃいますから、気をつけてくださいね」
『さあ、コーヒードールの登場だっ!』
「ユーミン、ってみんな言ってるから、フルネームがわかんなくなってる若い人とか、いるんですよね。
まっとうや ゆみ?
まつとうや のほうが
まっとうや」
『続いて、シューシューツカンだっ!』
「映画『カメラを止めるな』の中で、秋山ゆずきさんが、胸を大きめに見せていた、って話がありましたよね。
そもそも、ゾンビ映画といえば、ゾーンAからゾーンCに行く間に、すでにゾーンBになっていたんですよ、っていう映画ですからね。
ゾーンBといえば、日本語でB地区。
ビーチクといえば、業界用語で乳首のことですからね。
秋山ゆずきさんが、胸のことを気にしたのは、当たり前なんですよ」
第六千四百二十一万八千七百七十回お笑いバトルロワイヤルは、延々と続いてゆくのだった。
お笑いバトルロワイヤル 凹田 練造 @hekota
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