第16話 使命感
今年の春から、我が家の食糧事情は大きく変わったと言ってよい。
まず驚いたことに、毎日腹いっぱいご飯を食べている。
俺の子供時代を思い出しても、かなり凄いことだ。
だが長老との会話で気がついた問題がある。冬だ。
こおの集落における死因の多くは肉食動物に襲われることだが、二番目に衰弱死がある。つまり餓死だ。
くどいようだが、この集落の人口は一五七人。女たちの採集と男たちの狩りだけで、毎日一五七人の腹を満たすだけの食糧を獲るのは不可能だ。
運悪く獲物が獲れない日が続けば餓死者が出る。
まして冬になれば、採集はできなくなる。
腹をすかした体に寒さが追い打ちをかけ、毎年冬になると餓死者か凍死者が現れる。
長老はもう三五歳。体力も落ちているし、この前の冬もかなり辛そうだった。
それにアオイやおじさんにおばさんだって、冬のあいだはお腹がすいて辛そうだった。
なんとかして冬の食糧問題を解決しなければ。
そんな使命感が俺に湧き上がる。
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