第9話 動物王国女王 ライオン少女のレオナ


「ニニ、ニンゲン様! 私なんかに膝を折らないでください!」


 その女の子は玉座から飛び起きて、慌てて俺に駆け寄って来た。


「え?」


 姫殿下なんて呼ばれているから、彼女はすっごく偉いんだと思ったのに、その彼女が申し訳なさそうな顔で僕の腕に触れた。


「!?」


 近くで見ると、すっごく可愛い子だった。


 長い金髪はサラサラで、金色の瞳は大きくて吸いこまれそうだ。スタイルも抜群で、モデルでもやれそうな子だった。


 でもやっぱり、日本人にしては顔立ちが少し違う。


 そして何よりも、彼女もライオンの耳としっぽが生えていた。


「さぁ、立って下さいニンゲン様」



 僕は彼女に立たされる。


「申し遅れました。私はライオン族と王国の長を務めます、レオナ・バーバリーです」


 ライオンが王様って、なんかイメージ通りだなぁ。


 それにバーバリーって、もしかしてこの子、バーバリーライオンなの?


 バーバリーライオンっていうのは、野生では絶滅しちゃった最大最強のライオンで、ライオンが百獣の王なら、バーバリーライオンはライオンの中の王様だ。


 食物連鎖の頂点の中の頂点。


 みんなの知っているアフリカライオンよりもずっと大きな巨体と立派なタテガミを持っていて、そのタテガミは首だけじゃなくてお腹の方がまで伸びている。


 あまりにも勇猛過ぎる見た目から乱獲され続けて、今ではもう一部の動物園で保護された個体しか見ることができないらしい。


「ニンゲン殿。こちらの世界に来て、さぞ驚かれている事でしょう」

「!?」


 声のする方を見て、僕は開いた口が塞がらなかった。


 玉座の周囲には、色々な動物の耳としっぽを持った女の子達がいて、その中で唯一と言って良い大人の女性が進み出た。


 身長も、男の僕ぐらいある。でもそれ以上に、スイカ大のおっぱいに目が行って、まばたきができなくなった。


 彼女は、まるで戦場で見たあの怖い女の人達並のプロポーションだった。


 それこそ漫画のキャラクターがそのまま抜きでたような、いわゆるボンキュボンって言うの? 首筋やウエストはグッと引き締まって細いのに、手足もしなやかで均整がとれていて、けれど太ももはムチッとしてセクシーで、お尻は大きな安産型で、おっぱいはそれこそスイカを詰め込んだみたいに大きさだった。


 何ここ。さっきから何でこんなにおっぱい大きい子ばかりなの?


 視線を逸らす意味も込めて辺りを見回すと、ネズミや猫、犬、チーター、ヒョウ耳の女の子は小柄でスレンダーで、胸も威圧感を感じさせないつつましい物だった。


 でもライオンやトラ、クマ耳の子らは巨乳で、馬耳の子は爆乳だった。


 動物の大きさが体の発育具合とリンクしていて、なんだか妙に納得した。


「一〇〇年周期で現れるニンゲン様への説明は、長い歴史の中で既にマニュアル化されております」


 またスイカバストの女性が喋り始めて、僕は背すじを伸ばした。


 ちなみに、圧倒的過ぎる立派なおカラダをお持ちの彼女は……ゾウ耳だった。



 あ、すっごく納得。

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