第3話 神様なんて、居てもいなくても良いと思う。③
私も適当な石に布を敷いて座って黒パンを食べる。
黒パンは少し固いけど噛めないほどじゃない。顎は強い方だ。
具材と一緒にソースも入れてあったので口一杯に頬張りながら食べる。うまうま。
仕方ないじゃない。黒パンは大きくて私の口は小さいんだから……。
パクツイていると大きな黒パンも次第に小さくなる。半分まで食べたところでカエラサおじさんが隣に座る。
「アーシャ嬢ちゃん。お前さんがまぁ力自慢だってのは見せてもらったけど、それでも女の子がやる仕事じゃねぇだろうに。他の仕事はやらないのか? 例えば店の手伝いとか」
「別に仕事があるやらやらない訳じゃないけど、お店の店員ってちょっとね。勤めても暫くは給金も安いしこき使われるし、人が増えすぎたらすぎポイだよ。私定住しないしね。だからこういうさっとできるお仕事の方が好きかな」
「そんなもんか。あぁ見習いは何処でも同じか。変なこと言っちまったな嬢ちゃん。この後も頼むぜ」
そう言ってカエラサおじさんは他の人に話しかけに行った。監督者だからだろうけどマメな人だ。
多分信頼されてるんだろうなぁ。
私は残りの黒パンに齧りつき、休憩時間の終わる前に食べ終えた。なかなか美味しかったね。
また頑張って働いていると最初は沢山の馬車が待機していたけど、今はもう3台だけだ。
最後までペースを落とさずに荷を運び、まだ太陽が高いうちにお仕事が終了した。
カエラサおじさんのところに並び、皆でお金を受け取る。
「嬢ちゃんのお陰で早く終わって助かったよ。大の大人が嬢ちゃんに負けられないって張り切ってたからな」
私はギルドから来たからお金と一緒に紙を貰う。
仕事が問題なく出来たという証だ。
ギルドにこの紙を渡すことで依頼は完了って訳。
カエラサおじさんはまたあるから是非参加してくれよ。と言ってくれたのでまたこよう。良い稼ぎになるしね。
仕事が終わったので本来ならさっさと街に戻ってお風呂へ向かい、宿で横になるところなんだけど、実はもう一仕事ある。
今日やるつもりはなかったんだけど、上手く時間が出来たからね。
もう一つの仕事の内容は、夕顔草の収穫だ。
採れる場所はここから近い。
夕顔草は普段は雑草と見分けがつかないが、夕方の空が茜色に染まる時間帯にだけ紅く染まる。
その時に採取することで夕顔草が手に入るんだ。
使い道は染料に薬に、錬金術にも使われる。
そんなに値は張らないけど需要は高いのでついでに出来る仕事としては最適だ。
ちなみに食べると少しピリピリする。
暫く目的地に向かって歩き、見通しが悪い場所に入る。近くに川があるし、私は汗を拭うために体を水で濡らした布で拭く事にした。
上着の青いパーカーを脱いで、スカートも脱ぐ。
上下インナーになったところで、布を川に浸して絞り、それで体を隅々まで綺麗にする。
流石に川に入るのは難しい。裸だと無防備過ぎるし。ヒルが居たりする。
それでも気持ち良いし、大分さっぱりした。
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