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「シン! モニターして、解ったことは?」
サラが珍しく気色ばんだのを見て、ミサは意外な気がした。
何時でも冷静な女だと聞いていたし、政府の人間といえども私達をどうにか出来るとは思えなかったから。
「そうだね、一個小隊程かな? こんな狭い町に、不似合い極まりないよ。もちろん全員、防御リングを装着してる」
サラは苛々と爪を噛みながら、シンに棘のある声で言った。
「そんな事は聞くまでもないわ! 私の言いたいのは……奴が居るかってことよ! ねえ、どうなの?」
「……居るよ。司令官なら」
途端、小刻に震えだしたサラにガイが今度は肩をすくめた番だった。
「……なんで……してやる!」
サラのブルーアイズがどす黒い思念に渦巻き、小屋の裸電球が激しく瞬き、私に抱きついていたカスミの手が、共鳴した様に震えている。
「おい、よしてくれよ! 時間の無駄だぜ、ヤツならまた会えるさ。マスターに言われただろ?」
さっきまで、瞬いていた電球からバチッと火花が上がり一瞬で暗闇に閉ざされた。
いや、暗闇では無い。微かにだが床が蛍光塗料を塗った様にボワッと光っている。
「そこの新人にも分かる様に暗くしただけよ。さっ、行きましょう」
「また負け惜しみ言いやがって。だから『氷の眠り姫』って言われるんだぜ」
訳が解らない私に、シンがそっと耳打ちした。
「何時もの事だから気にしないで……あの灯りの上に乗ってくれれば地下に行けるから」
ただの光かと思い近付いてみると違った。何かの模様が描かれている。
恐々足を乗せた私とカスミは、身体中に光に包まれて行くのを感じ、眩しさに目を堅く閉じた。
「ようこそ地下へ……終末を司る運命の子よ。私がこの世界の長であるマスター『イザイ』だ」
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