メモリアル

天ヶ瀬羽季

春の快晴

 空が青く青く晴れた日。綺麗な快晴の日。

 僕は君の中から消えた。


 何気ない普通の日。

 相変わらず鳴り続ける携帯に僕は苛立ちを覚える。

 先日、母と父が喧嘩をした。


 母は随分とお怒りのようで、メッセージを使って父に怒りをぶつけている。

 その夫婦喧嘩の戦場が家族のグループトークなのだ。

 メッセージが溜まれば溜まるほど携帯は重たくなるもの。

 そのおかげで僕は動画を見ることも、友達とメッセージを送ることも諦める羽目になった。


 暇で暇でたまらない無意味な時間を過ごすのは、さすがに良くない。

 できることなら、充実されるべきなのだ。

 それは分かっていた。

 だけど、何もする気が起きない。


 少しグループトークを開いてみたら父と母が帰ってくると5分前ほどに連絡が来ていた。

 僕は嫌な予感を察して逃げるかのように家を出る。


 まだ春先で、微妙な暖かさを持っている風が吹く家の外。

 そこは僕にとって心地がいいものではなかった。

 どちらかと言うと気持ちが悪い方で、少しだけ空気を吸って咽せ込む。


 生ぬるい気持ちの悪い季節。

 僕は持病が頻繁に出るこの時期は嫌で嫌で仕方がない。

 もう少し元気に生まれたかった。そう思う。

 彼女に出会うまで…

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