幸せと涙
天ヶ瀬羽季
第一話 私のこと
中学三年生の夏休み前、私は初めて現実の残酷さをまじまじと感じた。
昔から私は美術の先生を目指していた。正月だけ、うちに来てくれる叔父さんが高校の美術教師をしていて、いつも私に美術を教えてくれていたからだった。叔父さんは私に
「美術は、綺麗を作り出すのともう一つ意味があるんだよ、」
と。私はその言葉が大好きで叔父さんが毎年、家に来たら叔父さんに向けて言っていた。
「美術は美しいものを表現するための唯一の手段、だよね。」
と。私は一年に一度しか会えない叔父さんに絵を見せるため、当時少なかったお小遣いでスケッチブックを買って絵を描き続けた。
情景画、人物画、模写、イメージ画、、、。
たくさん描いた。それを叔父さんはいい絵だと毎年褒めてくれた。そんな叔父さんの教えを広めたくて、私は美術の先生を目指した。
その年、中3の夏、私は美術でも表現できない美しいものに出会った。
それは弓を射る少年だった。
彼は山奥の弓道場で一人、弓を射ていた。その姿は消えてしまいそうなくらい綺麗な姿だった
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