#027 海上特別作戦傭兵大隊

 1週間後、新たに“軍隊”となった特別作戦傭兵連隊の海上特別作戦傭兵大隊の女性兵士達はアルトリア・ラーミスに連れられて無人島に来ていた。


「こんな場所に来て、何をするつもりですか?」

「ん? まぁ、海上を担当するのだからそれなりの戦力を有さないといけないでしょ?」


 アルトリア・ラーミスは気さくに笑いかけて「じゃあ、ここで見ていて」と言って丘の上で待機させた。次の瞬間、沖合に航空母艦1隻と巡洋戦艦4隻、重巡洋艦2隻、軽巡洋艦2隻、駆逐艦15隻を出現させた。


「手前から航空母艦赤城、巡洋戦艦金剛型4隻、重巡洋艦古鷹型2隻と青葉型2隻、軽巡洋艦天龍型2隻、駆逐艦峯風型15隻だよ。 あ、ちなみに・・・これらは元々いた世界で使われていた軍船だから折り紙付きの火力だよ♪」


 サラッと異世界からの転生者だという爆弾発言を交えて説明していると、数日前に大将となった魔術学院3年生のリーカ・アドルュフが「1国の海域を十分支配できてしまうよ!」と驚愕した声を上げた。


「うん、オーバー過ぎると自覚はしているけれども・・・。これからこの世界は大戦争時代に備えないと行けなくなりそうな俺の予感から来ているから――なんとも言えないのさ」


 そして、航空機運用と操縦技術などを頭に叩き込ませた結果なのか見た事もない船を操艦できる希望なのか彼女らは1ヶ月を予定していた訓練をたった10週間で就役に扱ぎつけた。


++++++++


 3日後。フォルシア王国沖にてリーカ艦隊と称された航空母艦赤城を旗艦とする艦隊が停泊して演習を行っていた。


 演習内容としては零式艦上戦闘機ゼロ戦を使った索敵さくてきから巡洋戦艦4隻による対地支援や敵地にある騎竜基地への艦砲射撃任務時における三式榴弾三式弾の射撃演習、重巡洋艦と軽巡洋艦による対空迎撃、駆逐艦による敵潜水艇の対処などだ。


「リーカ艦長、偵察任務中の二〇型と二一型から目標発見との事です!」

「よし! 金剛型4隻による威嚇射撃を実施しろ!」


「了解!」


 副艦長のララ・コヴェーセルがモールス信号で〈目標発見、方位1-3-6。装填完了次第、各個に撃て〉と高速で電鍵でんけんを打ち始めた。


 それを受け取った金剛型巡洋戦艦1番艦の金剛に艦長として着任しているリーカの実妹ラヴォント・アドルュフが伝声管を全て開けて「攻撃、用意! 方位1-3-6、仰角最大! 全主砲、装填完了次第――撃ち方、始め」と指示を飛ばした。それを横で聞いていた副艦長のララの実姉ルル・コヴェーセルが各砲座から『準備完了、指名!』と返って来てから「撃ち方、始めぇ!」と指示を出した。


 刹那せつな業焔ごうえんと共に模擬弾を斉射した主砲は一度畳まれて今度は交互射撃を始めた。


『――6、5、4、3、着弾、今!』


射撃指揮所から聞こえてくる着弾計算員の声を聞いていると「――ドン、ドドドン!」という着弾音がガラス越しに聞こえて来た。


 ラヴォントが双眼鏡で演習先の無人島を見ると黒煙を上げて、無事に着弾した事を示していた。


「全弾着弾。 赤城からの指示を待つ!」


 その後、全ての演習を終えたリーカ艦隊は、無人島に極秘裏に建設した秘密海軍基地に帰港した。

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