第2章

#013 戦場での再会

 俺は転生者だ、前世では兵士をしていた。だが、それはもう過去の話・・・今の名はアルトリア・ラーミス、児童冒険団の時の名はJACKAL。だけど、色々あって児童冒険団を辞めて旅に出たら【紅】とかいう3人組の女性パーティーの護衛をしていた。




 冒険者ギルドに着いたら、そこで取り囲まれてブチギレそうになったところを護衛していた【紅】メンバーが俺を学院に勧誘してきた。




 前回のあらすじはザックリ纏めると、こうなる。さぁ、第2章ではどうなるのやら?




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 学院に来てもう半年だ、その間に三人衆トリプターが再び教室にやって来たので「(・・・またか)」と半分呆れの溜息を吐いたが何故か教員も一緒で「(おや?)」と思った。すると、「この度は誠に、うちのクラスの問題児が迷惑をかけました!」と頭を深く下げて来た。その後、3人の頭が教師によって強制的に下げられた。




「ほら! ちゃんと謝罪しなさい!」


「「「す、すみませんでした」」」


「声が小さい! もっと声を出して!」


「「「すみませんでした!」」」




 おおう、なんだか可哀そうになって来た。




「別に、俺は怒っていませんよ? それに、教師が問題となった生徒を引き連れてカチコミのような行動をとる方に僕は疑問ですが?」




 思ったことをそのまま言ってやったが、教師は聞く耳を持たない。仕方が無いので、傾聴させるために3人には耳栓を付けて貰った後、至近距離で閃光発音筒フラッシュバンを炊いた。




「――バンッ! ――キイィィン・・・!」




 ピンを抜いて教師の前に転がすように投げると目の前で破裂して、170デシベル以上の爆発音とたった15メートルの範囲で100万カンデラ以上の閃光を放ち、突発的な目の眩み・難聴・耳鳴りを発生させた。




「グアァァァァ!」「目が、目がアァァァァ!」




 教師2人がのた打ち回っている間に、三人衆トリプターに「今後も教師や交友関係で迷うことが有れば、俺を呼んでくれても構いませんよ」と囁き教室の窓を開けて窓枠に登り「SEE YOU,GOOD DAY」と言い飛び降りた。




 その光景を見ていた3人は急いで窓に駆け寄り地面を見たが、そこにはもう姿が無かった。




「「・・・」」「ニンジャなの・・・⁈」




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 そして現在、俺は今――戦場にいる。




 理由は2つ。1つ目は学院2年生に昇格すると並行して戦場の経験を積ませるという学院側の思い付きだが、俺は【紅】の元メンバーであるリリーに「飛び級って事で、行ってきたらどうだ?」と笑いながら送り出されて魔族との戦線に放り込まれた。2つ目、戦線に行ったらなぜか歴戦兵と間違われて前線に送り出された。それだけだ。




「回復魔法をかけろ! 急げ!」


「あ、ああ。(魔法学院2年生の俺に言われても・・・)」




 半分呆れながらも簡単な処置を施していき、ある程度終われば前線に戻ってM16A1の銃口を正面に向けた。




 攻めてくる魔族を兵士達が攻めやすいように後方支援をして行く最中、見覚えのある女が前線に飛び出して「私は“神速の剣乙女”!――エフォート・リスタよ! さぁ、私に続いて!」と声を張り上げた。




「エフォート・リスタ――まさか、ここで再開するとは・・・」




 煙幕手榴弾スモークグレネードのピンを抜いて前線に投げ込むと展開された煙幕に飛び込むように塹壕から飛び出して最前線へと突き進んでいく。その後ろを突撃に気が付いた“神速の剣乙女”が付いて来た。




「ねえ! あなた! 死にたいの⁈」




 エフォートの呼びかけに即座に呼応するかのように、脚を止めて振り返った。




「――生きるために突撃するのさ、久しぶりだな。 エフォート・リスタ、俺を覚えているか?」




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「その声は、もしかして・・・」


「よぅ」




 気前よく声をかけると同時に振り上げていた剣を納めて、抱き着いて来たと同時に消え入るような声で「覚えているわよ、ばかぁ」と泣き出した。




「ははは・・・、泣き虫になって居るな」


「それは・・・。 ・・・泣き虫にもなるわよ」




 何かを言いかけて最後の方は何も聞えなかったが、2人の時間が過ぎて行き現実に戻された。戦場のど真ん中で男女が抱き着いているのだから的にならないわけが無い。




 早速、超ド級の魔法が魔族側から飛来してきたが難なくそれを常日頃から護身用で持っている2,5インチモデルのコルト・パイソンに装填された対魔術式用弾丸で組み込まれていた術式ごと撃ち抜き粉砕した。




「――あっ、危ない!」


「ん? ああ、大丈夫だ。俺を信じろ」


「それは、どういう意味――」




「フッ!」「――ガギュンッ!」




 魔族側から見れば、詠唱したはずの特大魔法弾が一瞬にして消滅したと捉えることしか出来ない。




「ナ、ナンダト・・・⁉」


「イ、一体、何ガ起キタンダ⁈」




 それもその筈、なんせ科学文明迷信は魔法が常識のこの世界にとって異端児アブノーマルだから対策がされていない。




 やがて2人の空間に兵士達の騒めきや魔族側の咆哮などが雑音となって入り込んできたと共に、「この続きは、戦闘の後で」とエフォート・リスタの唇に人差し指を押し当てて約束を交わした。




「・・・ぅ、ん」




 俺は目の前に迫って来ている魔族の大軍を見つめて「魔族の形をしたゴキブリが居るから、焼却しないと」と口ずさみ自作した架空の銃火器であるブルパップ方式の火炎放射銃を取り出して軍用防毒面ガスマスクを装着すると「IT’S SHOW TIME!」と大声を出しながら単騎突撃をした。

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