#008 護衛依頼
35体のオークをM200で討伐し終えたアルトリア・ラーミスは女性魔導士1人と女性剣士2人に声をかけた。
「大丈夫ですか?」
反応が無いので首筋に人差し指と中指を添えるとまだ脈があったので、「なんだ、気絶しているだけか」と言ってオークの死体を無限収納袋インフィニティ・ストレージに入れて行き森林を出た。
その後、野営テントを増設して3人分建てると1人ずつテント内に運び込み、3人が意識を取り戻すまで面倒を見る事にした。
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無限収納袋インフィニティ・ストレージから先程、収納したオークの死体を取り出して夜食にすることにした。
オークの身体はお腹に油分が多いので、美味な出汁が取れやすい。しかも、チャーシューやステーキが1番美味しく食べられる。乱暴に剥ぎ取るように取った脚の肉を火魔法で生成した弱火でじっくりと焼き目が着くまで焼き、その上から3日前に狩って出汁を取っておいといたバニーラビットの出汁をかけた。
「――いただきます」
手作りのフォークとナイフで美味しく食べ始めた頃、テントでは女性魔導士が魘されていた。
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「いやぁあぁぁあ! 来ないで!」
夢を見ていた、仲間が次々とオークの苗床になって行く様の。
「リリー!サラぁ! 嫌アァァァァァァァァァ‼‼」
その時、目を見開き灰暗い意識が明るい意識に戻った。
「――ハッ・・・! はぁ・・・はぁ・・・、ここ、は・・・?」
薄暗いテントの中、周りを探るために身体を起こそうとした時に体中の痛みで顔を顰めた。
「いっ、たぁぁぁ。 何処どこよ、ここは」
その時、テントの外から聞いた事もない音が響いて来たので無理をして体を起こし外に顔を出して見て見た。すると、見た事もない魔術杖を持った男が2重の円を岩に書いてから少し離れてそれを横に持ち立ち留まり始めた。
「(あんな魔術杖で何が出来るって言うの・・・? 馬鹿らしい・・・)」
しかしその瞬間、杖先が一舜だけ光り何かを撃ち出した。そして岩にその跡を残していった。
「――ふぅ・・・、やっぱり鈍っていないな。 狙撃の腕は」
男の声に気づく事なく岩に残っている跡が、円の中心という事実に目を丸くしていた。
「(う、嘘でしょ⁉ あんな、あんな魔術杖が光ったと思ったら岩に穴が・・・!)」
「――起きていたのか、良かったな」
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「なっ・・・⁉」
「そう身構えるなよ、オークに襲われていたから助けたのさ。 俺はアルトリア・ラーミス、元児童冒険団黄色ランクのジャッカルだ」
「じゃ、ジャッカル・・・って、魔族に取りつかれた少女を助けたっていう」
そんなに噂が広まっているのか?いや、きっとその場にいたから知っているだけなのか?
「あー・・・、それは噂か?」
「はい・・・、2日前にリベリアルに来た行商人から聞いた話ですが・・・」
「リベリアルって言う場所は、リスタ中央本部ギルドに近いのか?」
「えーっと、3キロートルぐらいですが・・・」(1キロートル=1000ロートル)
確か・・・、この世界での単位だったか。
つまり、1000×3だから3000ロートル――リスタ領と
「遠いなぁ・・・」
「乗合馬車で6日の距離ですから」
嘘でしょ⁉
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女性魔導士の名前はアレスタ・マクラーレン、今年リベリアル魔法学院を卒業したらしい。彼女の話によれば、卒業したら普通はギルド職員や看護師などに就くが冒険者になる女性魔導士が急増しているらしい。
「――それで、リリーとサラを誘って3人パーティーの冒険者チームを結成したのですが・・・。まさか、初陣がオークの討伐で・・・」
「苗床の一歩手前になった・・・と?」
「うぅ、はい・・・」
知り合いにリスタ中央本部ギルドを紹介されて来ているという事を告げると、彼女は暫くの間護衛をしてほしいと頼み込んできた。
「オークに襲われるかもしれないという心の傷から出た依頼なら、謝礼は要らない。 その代わり、護衛中に見た俺の装備については他言や言及を厳とする」
「わ、分かったわ」
その時、テントを出て来た2人の女性剣士にアレスタが事情を説明して説得した。
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