第443話 両軍ともに…
3回表は7番の光村選手からの打順であった。
初回のエラーを取り返そうという気合に満ちていたが、ライトフライに倒れた。
今日の岡本投手は絶好調のようで、ツーシームが良く動いている。
捉えたと思っても、当たる直前に球が動き、バットの芯を外されているのだ。
8番の上杉捕手、9番のバーリン投手も当たりは良かったが、いずれも野手の守備範囲内であり、この回も簡単に攻撃が終わってしまった。
3回裏、バーリン投手も踏ん張り、フォアボールのランナーを1人出したものの無失点で切り抜けた。
そして試合は膠着状態のまま、5回を終了した。
グラウンド整備の間にチームピンキーズのパフォーマンスがあり、スコアボードを見るとまだ両軍ともに無安打だ。
バーリン投手は、初回に内野ゴロにより1点を失ったが、出塁を許したのは僕と光村選手のエラーの外は、フォアボール2つのみである。
そして岡山ハイパーズの岡本投手は、我が札幌ホワイトベアーズ相手にパーフェクトを続けている。
決して良い当たりが無いわけではない。
打球がことごとく野手の正面をつくのだ。
岡山ハイパーズバッテリーの術中にはまり、うまく打たされているのかもしれない。
そして6回表の攻撃も三者凡退に終わってしまった。
まだパーフェクト継続中であり、球場内がザワザワし始めた。
次の回は僕からの打順だ。
このままでは終わらせない。
6回裏、バーリン投手も岡本投手に負けず、岡山ハイパーズ打線を三者凡退に抑え、颯爽とマウンドを降り、ベンチにゆっくりと戻っていった。
7回表。
僕はバッターボックスでゆっくりと相手の守備体系を見渡した。
サードの本田選手がやや前進守備を敷いている。
初球。
僕はバントの構えをし、バットを引いた。
バントの構えをした瞬間、サードの本田選手が猛チャージしてきた。
やはりね。
セーフティバントは警戒されている。
この間の投球はストライク。
僕は一度バッターボックスを外し、素振りした。
さてどうしょうか。
警戒の中、セーフティバントを強行する手もある。
うまくサードとピッチャー、キャッチャーがの間に転がせば、セーフになるかもしれない。
だがもしヒッティングで三遊間の深い所にに打てれば、サードの本田選手が前進守備をしているので、ショートが捕球し、セーフになるかもしれない。
外野はやや前進守備を敷いている。
大きい当たりを打てば、外野手の頭を越せるかもしれない。
まあ深く考えるのはよそう。
ここはシンプルに来たボールを打ち返そう。
そのように心に決めた。
サードの本田選手はまだセーフティバントを警戒している。
そして2球目。
内角膝下へのスプリットだ。
僕は身体をうまく半転し、うまくボールを拾った。
打球は三塁線沿いに飛んでいる。
だがやや前進守備を敷いていた、本田選手がシャンプ一番掴み取った。
凄いジャンプ力だ。
マジかよ。
僕はとっさに天を仰いだ。
今のは上手く打ったのに。
ついてない、どうすりゃいいのだ。
僕はトボトボとベンチに戻った。
そして五香選手も岡本投手の前に、フルカウントまで粘ったが、最後は見逃しの三振に倒れた。
最後は外角低めへのスプリットで、五香投手にはボールに見えたようで一塁に歩きかけたが、球審は一拍置いて、アウトを告げた。
そして道岡選手もうまく流し打ちしたが、打球はレフトの倉田選手の真正面だった。
これで7回までパーフェクトに抑えられている。
次の4番からの゙打順で塁に出られないと、パーフェクトの可能性が高くなる。
ちょっとヤバいかも…。
バーリン投手は7回裏もマウンドに上がり、デットボールを一つ与えたものの、後続をショートへのダブルプレーに打ち取り、この回も0点に抑えた。
地味にバーリン選手もノーヒットは継続中だ。
もっともエラーで出たランナーをホームに返しているので、ノーランではない。
7回を終えて、両軍ともにノーヒット。
なんて試合だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます