幸せな人生をもとめて

@KL97

第1話  塔を目指そう

 僕は神楽神。今年16歳になる高校生です。

 そして限りなくボッチに近い存在でもある。

 言い訳になるが一応これには訳があり僕は勉強は学校でも上位に入るし運動に関してはダントツでトップであり幼少の頃から武道を嗜んでいるので自衛も出来る。

 なのに何故限りなくボッチかというと家族が居ないからである。

 もちろん初めから家族が居なかっ訳ではなく僕が15歳の時丁度1年前に飲酒運転の車に巻き込まれ両親は帰らぬ人となったからだ。

 両親は平凡だがとても優しい両親だった。しかしその両親はもう居ない。

 他に身内の居なかった僕だが両親の遺してくれた遺産や保険と事故を起こしたドライバーからの慰謝料そして家も両親の持ち家があった為生活は送る事が出来ている。

 同級生や周りの人達もどう接すればいいのか分からなかったようで腫れ物扱いで見事ボッチの出来上がりだ。そして自分自身も最初は生きる活力もなくし呆然と日々を送っていたが両親との立派なハンターになってみせるという約束を思い出しその約束を支えとして今日を迎える事となった。

 そしてやっと念願のハンターに登録出来る年齢になったのでこれからハンターを目指します。

 この世界にアナザー・ワールドという名の塔が世界中に出現してから10年の月日が経過し、塔の中から潤沢な未知の資源が確保出来る事が知られ当然世界中の国々が挙って探索に向かう事となった。

 何故たかが塔にアナザー・ワールドなんてたいそうな名前が付けられたかというと外見と中身のキャパシティが全く一致しない、外から見た外周は半径10メートル程なのに対し塔の中は1フロアが数100キロぐらいという全くの別世界という表現が最も的確な正にアナザー・ワールドという名が相応しいという事でその名が付けられた。

 しかし当然そんな簡単に未知の資源が得られ訳もなく塔の中にはモンスターと呼ばれる異形の生物が存在しており中に入った人間を襲うというお決まりといえばお決まりの展開が待ち受けていた

 しかも塔の中や塔付近では近代兵器の類はほぼ使用不可で使用出来る物といえば刃物の類ぐらいだった。

 その代わりの様に塔に初めて入った人間には必ず1つスキルと呼ばれる特殊能力が授けられ、その能力を元に塔の探索を行える事が分かった。

 それらの検証の元塔を探索する事を職業とする通称ハンターと呼ばれる職業が世界各国で普及し始めた。

 そして一攫千金を求める多くの人間がハンターを目指す様になった。

 が、現実は残酷で数多の人が塔のモンスターによりその命を散らせていった。

 そういった経緯からハンターになれる資格は16歳以上に年齢制限が設けらた。

 それでも危険過ぎると批判の声も多数あったが最終的には自己責任という事で無理やり取り決めが行われた。

 それ程危険と分かっていても人の欲とは際限なきもので数多の人間がハンターを目指す様になり今では将来なりたい職業不動の1位に挙げらる程になっている。

 しかしどの様なスキルを得られるかは塔に入ってみるまで誰にもわからず、そして必ずしもモンスターとの対峙や探索に役立つ物とは限らず本当に運任せで、スキルは1人1つ一度しか得る事が出来ずハズレスキルを得た場合ハンターを諦めざるをえない状況となる。

 もちろん自己責任なので俗にいうハズレスキルでもハンターになる事は可能ではあるが無理をして探索から帰らない事も数多くあった。

 そこまでして無理に塔に入る理由としてもちろん一攫千金の夢を求めてというのもあるがもう1つの理由としては探索を進めて行くと極稀にではあるがスキルブックというアイテムを入手出来る事がありそのアイテムを使用すれば新しいスキルを得られると云われているからだろう。

 実際に現在の最高峰のハンター達の中には複数のスキルを所持している人もいるのでこの情報はまず間違いないだろう。

 と、いった事から無茶をしてでも塔の探索を行う者が後をたたないようだ。 

 一応各国政府がハンター協会を設立し管理は行っているが塔に入った全ての人間が何かしらのスキルを得る事が出来る為他にもメリットがある為強制的な探索の禁止というのは難しいらしい。

 確いう自分もこれから塔に入りスキルを得て探索に行くつもりなので他人の事は何も言えない。

 それでは気合をいれてスキル獲得と初めての塔の探索に向かうとしよう。

 そして僕は両親との約束を胸に塔に向けて歩を進めた。

 

 

 

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