第116話 いよいよ学院の外へ

 学院内はどうやら神力が漏れ出ている元となった珠の破片、欠片と言ったらいいのかな?これの回収が終わったようで、いよいよ学院の外での神力の回収作業となりましたが、

「あのベティーナ様、そのお姿で外へ向かわれるのでしょうか?」


 姿と言うか、服は問題ないのだけれど、あまりもの神々しさにこれ、このまま外へ出ちゃ駄目だ、と思わせるそんな感じです。

「コラリーヌだったよね、何かおかしかったかな?」


 あれ、もしかして自覚がないとか?


「ベティーナ様の神としての存在、上手く言えませんがあまりもの神々しさに、そのまま珠の欠片を市中で行うのは目立ちすぎて困難ではないでしょうか、と思いますがどうでしょうか。」


「あら?そんなに漏れ出ているかしら?これでも抑えているつもりなんだけど。」


 僕は考えました。

 確かに教会での気配は此処まで凄くなかったので、これは珠の力が影響している可能性があるかな。そう思ったので確認してみます。


「ベティ、さっきまでこの周囲は珠の欠片があったせいで神力が周囲に沢山あったはずだから、その影響でベティの思っている以上に神としての存在がこの地にあるのじゃないかな?ベティが今まで抑えていた力では神の力を抑えきれていないとか。」


 ベティは何やら考え込んだみたいで、

「あらそうかしら?確かにそう言われると何だかいつもより力が引き出せちゃってる感じがするかもしれないわね。じゃあもう少し強めに抑えるわね。」


 暫くして漏れ出ていた神々しい力が消え、ぱっと見何処にでも居そう・・・・かはわからないけれど、少なくとも神とは初見では気が付かない感じになったようです。


「これでどうかしら?」

 僕は改めてベティを見ます。コラリーヌさんも同様に見ています。


 コラリーヌさんは納得したのか、


「大丈夫そうです。」


「そう?じゃあ準備はいいかな?出発しましょ!」


 何処へ向かうのか知らないのだけど、ベティは迷う事なく外へ向かっていくではないですか。

 慌てて僕とコラリーヌさんはベティを追いかけます。


 暫くして追いついたのですが、10分ぐらいは歩いたでしょうか、

「この辺りからやって頂戴。」


 因みに飲食街です。

 僕は万が一周りの人に見られるとその後問題になると思ったので、少し奥まった方に向かい、周囲に誰も人の目が無い事を確認し、コップを取り出し念じます。


 するとさっきと同じく、何かが吸い込まれていくのを感じます。

 ただ、さっき学院内で行った時よりも吸い込まれる量が少なく感じましたが、それでも人が扱っていい力ではないと感じました。


 時間にして1分ぐらいと思いますが、自然と吸い込みが終わり、

「今回は早かったわね。はい、中身を出して。」

 ベティが手を差し出すのでコップを傾け、ベティの手に中身を出します。

 今回は本当に小さく、砂粒より少し大きなぐらい、下品だけど鼻くそぐらいの大きさです。

「じゃあ次行ってみよ!」


 何故かテンションの高いベティ。

 僕とコラリーヌさんは顔を見合わせてから着いていきました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る