第100話 愚かな神

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 何やら軽い音がしたと思いきや、その後よくわからない絶叫が響き渡りました。


「「ぎゃああ!!!!」」


 さっきの音と共に何かが飛び出し、その後何かが勢いよく穴から噴き出してきました。


 その頂上には何かの物体が。


あづびぎょぶべば熱いぞ何ぞこれ

びぼびぎゃぎづび臭いがきつい


 よくわからない言葉が聞こえたと思ったら、

 ドゴ――――ン!!!!!


 穴から少し離れた場所に落下する物体。


 そのまま埋没していきます。


 あれは駄目な奴だ。

 本能がそう警告します。

 それに空からは少し熱い液体が降り注いできました。

 雨にしては臭いが変ですし、危険なにおいがするのでこれ以上ここに留まる必要もないですし、

「寮へ戻ろう。変な臭いがするし、風呂に入って綺麗にしよう。」

 謎の液体で先ほどの砂が流れ落ちましたが、この液体の正体がわからないので急ぎます。

「アレは如何なさいますか?」


 コラリーヌさんが謎の物体を指さそうとしたので僕は遮ります。


「あれは見ちゃいけないやつだ。放っておいて戻ろう。」


 もう振り返らずに僕達6人は急いでこの場を去りました。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

【酷い目に遭った。】

【父上無事ですか?少し狙いが外れたようですが。】


 愚かなる神、親子の2柱である。


 下界への降臨と言う名目でのショースケ暗殺計画を実行したものの、想定していなかったのか神界からこの世界へ下るのに失敗し、制御できずすさまじい勢いで地面に激突をしてしまった。


 その衝撃は地面に直径10メートル以上のクレーターが出来上がってしまった事から恐ろしい勢いだったであろうが2柱は生きている。


 そしてその勢いは地面深くまで穴を開け、結果温泉が湧いてしまった。


 この世界に於いての2柱の功績がこれである。


 ジュリグー魔法学院に突如沸いた温泉。

 それを成したのがまさかの忌み嫌われている2柱だった。


 そして慌てて後を追ってきたベティーナ。


【間に合わなかったか。なんという恐ろしい事を。】


 ベティーナはこの2柱が何かまたショースケの頭上に何かを落とすだろうと思っていたが、まさか本人達が自ら落下するなど想定外。


 慌てて碌な準備もせずに下界に降りたがすでに手遅れ。


【あ、あの子は?狙いはあの子達だったはず。だけどそれらしい人はいないわね。】


 既にショースケ達はこの場から去っている。


【探さなきゃ!だがあの愚か共を放置できないし・・・・くっ!仕方がない!あの愚か共を回収するのが先だ。後はあの子の運を信じるしかない。】


 こうしてベティーナは強引な降臨のせいで未だ神としての能力を発揮出来ずにいる2柱を捕獲、回収していったのだった。


【お、おい、誰だ!何をする!!】

【父上!神力が発揮できませぬぞ!これは可也まずいですぞ!】


 時すでに遅し。


 急いでいたとはいえ正しい手順で降臨したベティーナはこの地でも神力が使える。


 結局2柱は大した抵抗もできずにそのままこの地を去るのだった。温泉を遺して。


 この後神界に戻った2柱の賭けの負けが成立した。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・



【残念だったな!それにお前ら馬鹿か?あんな事をしでかせば暫く神力は使えぬぞ?いやそれどころかその姿を維持できるのか?】


 賭けに勝った名のない神が2柱の前で語っている。


 この神は、最終的にショースケが1年生き延びるに賭けたのだ。


 2柱の親子神のうち、父親の方はショースケが3日以内に死ぬ、息子は1年以内としていたのだ。


【くっ!】

【ふ、不正だ!これは不正に決まっている!】


 何処までも愚かな2柱だった。




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