反逆のピエロたち
晴美彩雲
第1章 窓辺 第1話
『反逆者』この言葉を聞いた多くの人が同じことを思い浮かべるだろう。
今これを読んでいる貴方もきっと同じことを思っていることだろう。
まだ見当がついていない人も『REBEL CLOWNS』と言えば分かるのでは無いだろうか。
そう、あの悪しき階級制度を廃した革命の火付け役たちだ。
彼らの提唱した平等への考えは人々に希望を与え、革命という大きなうねりとなって現れる。
今でこそ知らない者はいない程に有名な彼らだが、つい五十年程前までは全くの無名であった。
先陣を切って革命を主導して来た英傑たちが語ったことで、初めて大衆の目に触れたのだ。
英傑たちは口々に言う。
革命に立ち上がったのは『REBEL CLOWNS』に目を覚まされたからだと、当たり前だと思っていた境遇を理不尽と呼んで良いと言うことを知ったからだと。
現在、彼らが何を成し遂げたかを知る者は多い。
だがその実、『反逆者』たちが一体どのような人間だったのか、それを知る者は少ない。
ここでは、彼らが何を考え、何に悩み、どのように生きてきたのか、そんなことを紹介出来たらと思う。
反逆者『REBEL CLOWNS』彼らを語るには、まず彼らの生きた時代を語る必要がある。
今から三百年ほど前、人口爆発によって増え続けた人類は遂に百億人を超えた。
しかし、増えすぎた人間を全てまかなえるだけの資源は、この星には既に無かった。
あらゆる資源の枯渇により栄華を誇った街は姿を変え、人々に格差を与えた。
権力者が資源の独占を図ったのだ。
特に、この世のあらゆるものを司る石“ラピス”の奪い合いは凄まじいものだった。
自ら光や熱、冷気などを発生させたり、音や衝撃を吸収、放出させるこの鉱石は、今日の我々もそうだが、当時の人々にとっても文明的な暮らしを成立させるには何より重要な資源だったからだ。
こうして、かつて平等を謳い差別を無くした世界は鳴りを潜め、階級制度が復活することとなる。
支配階級の王族を筆頭にして、貴族、地主の上流階級。実業家、専門職などの中流階級。労働者を中心とした下級階級の大きく三つに分けられる。さらにそれぞれの階級内でも上層、下層という格差が存在していた。
貧富の差というものは軋轢を生じさせる。もちろんこの時代も例に漏れず、多くの不和を生んだ。
質の良いラピスが溢れ、最先端の医療が充実し、食べ物の溢れる街に城のように大きな屋敷を構えて住むのは上流階級、郊外に家を持ち、街の恩恵にあやかっているのが中流階級、そのさらに外側に住むのが下級階級。下級階級には家はおろか、名前すら持たない者も多くいた。
ラピスなどの限られた資源や食べ物の独占はさらに激化し、大国同士での世界大戦が勃発する。
複数のラピスを組み合わせ、応用した化学兵器を用いての大量殺戮はどの国にも甚大な被害をもたらした。
人口は瞬く間に約六十八億人にまで減少した。
皮肉なことに、多くの人類が死亡したことで、資源の枯渇は解消されたのだ。
しかし、一度復活した階級制度が無くなることは無かった。
それどころか、富の独占にますます拍車がかかるようになる。
階級制度が復活して百年ほど経った時、栄えた街のある貴族の家に、男の子が産まれる。
男の子は「シャーロック」と名付けられた。
そう、『REBEL CLOWNS』唯一の上流貴族出身者『シャーロック・ピーストップ』である。
写真が一番多く残る彼は現代においてもかなりの美男子だ。教科書で微笑む彼に初恋を奪われた人も多いのでは無いだろうか。
しかし、彼の才能はその顔だけでは無い。彼の一番非凡なところは貴族階級に生まれながら反逆者として革命を望んだ点にある。
なぜシャーロックはその様な思想を持ったのか、二百年経った今でも愛される彼が何を思い生きていたのか、仲間にしか見せることの無かった微笑みに隠されたその素顔を一緒に読み解いていこう。
ー『素顔の反逆者たち』より一部引用ー
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