【完結】モンスターを愛し過ぎた令嬢は婚約破棄された後、スローライフで最強のドラゴンを育てて隣国の王子を救ってしまう
新川ねこ
第一話 モンスターか婚約破棄か
「違うの! この子は危なくないの!」
ユーリーは必死に否定をした。その腕の中には一匹のスライムがいた。
「モ、モンスターは危ないに決まっているだろ! 誰か! 誰か来てくれ!! モンスターだ! モンスターを殺してくれ!」
そう騒いでいるのは、ユーリーの婚約者のエアハルトだった。
ユーリーの父親に家に招かれ、帰り際に偶然ユーリーがスライムを世話している場面を目撃してしまったのである。
「殺すだなんてそんな……この子は森から街に迷い込んでしまったようで、怪我が治るまで面倒をみていただけなの!」
「面倒をみていた? モンスターの面倒をみていただと? 正気なのか?」
「モンスターでもちゃんと向き合えば想いが通じ合える子もいるの!」
「そんなわけがあるか! お前どうかしているぞ! 殺せ! そいつを殺すか婚約を破棄するか選べ!」
「この子を殺すことなんてできない……」
「なら婚約破棄だ! もう二度と私の前に現れるな!!」
ちょうどその時、騒ぎを聞きつけたユーリーの両親がやってきた。
「どうしたんだ!? 婚約破棄と聞こえてきたがなんの騒ぎだ?」
ユーリーの父親は到着してすぐスライムを抱きかかえたユーリーを見てすべてを悟った。
「ユーリー、またお前は……。お前は小さい頃よりモンスターに洗脳されている。これで何度目だ! いい加減目を覚ませ!」
「お父様……洗脳などではありません。心が通じ合えるモンスターが確かにいるのです」
「お前は何を……」
ユーリーの父親が言葉を詰まらせた。
「お父様わかってください」
「エアハルト君、婚約は破棄すると言っていたね? この子の代わりに妹のメンヒルと婚約してくれないか? 当然この子は我が家から追放するつもりだ」
「私はそれでかまいません。むしろお願いいたします。このようなモンスターに洗脳された妻など考えられません」
「なら決まりだ。すぐに君の父上に話をしよう。ユーリー、お前はすぐに出ていきなさい。お金は当分困らないだけやろう」
「お父様……」
ユーリーには父親の意志が固いことが伝わってきた。そうしてユーリーは次の日には家を出て、街の外、隣国との境界に位置する森にひっそりと建つ狩人用の小屋を借りた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます