【KAC20224】童話「鉢かづき」というツッコミどころ満載な童話を知ってますか?

帝国城摂政

第1話 和製シンデレラと、名前負けしてる話

 西洋童話として有名なシンデレラという作品を、皆さんは知っているでしょうか?

 実は日本には、和製版シンデレラという表記がなされるほどの童話が存在します。


 童話のタイトルは、「鉢かづき」。

 今回はその内容が、あまりにもとんでもないため、ツッコミどころを交えて、ご紹介いたします。




 むかーし、むかし。

 あるところに、寝屋備中守藤原実高---めんどいので、鈴木としときますわ。

 鈴木さんっていう、金持ちがおりました。


 鈴木さんはめちゃすこ女の子大好き人間だったので、観音様にお願いしました。


「観音さん! 観音さん! うち、めちゃんこ金持ちなんだけど、娘が欲しいんだわ!! お願いだわ、娘くれよな、おいっ!!」


 観音様は金と権力に弱かったので、鈴木さんの家にはめちゃんこ可愛らしい女の子が生まれました。

 そうして美少女に成長した鈴木さんちの娘さんだったのですが、母親が死ぬちょっと前にメンヘラ気味にこう言いました。


「ぐへへっ!! 娘よ! 観音様から、お前は頭に鉢を被せるのが吉、って出たから被せるわぁ~!!」


 そして、精神的に可笑しくなっていた母親は、愛らしい娘の頭に大きな鉢を被せました。

 大きな鉢は観音様の不可思議パワーによって、外れなくなり、精神的に可笑しくなっていた母親はそのまま「あー、いい仕事したわー」と亡くなりました。


 こうして娘は鉢を頭に被っていることから、「鉢かづき」と呼ばれるようになりました。



 メンヘラ妻から解放された鈴木さんは、新たにお嫁さんと結婚しました。

 新たなお母さんはごく普通的な感性の持ち主だったため、頭に鉢を被っている鉢かづきを


「ないわぁ~、マジないわぁ~」


 と、引き気味に家から追い出します。


 鉢かづきはメンヘラお母さんを恨むことなく、


「鉢取れんし、人生オワタ。もう死ぬしかないわ、マジで」


 と言って、川に身を投げて自殺しようとします。



 しかし、頭に大きな鉢を被っている鉢かづきは、まるで桃太郎の桃のように、川をどんぶらこ~どんぶらこ~と下って行きます。


 そして、川を下った先で山蔭三位中将----こいつも面倒なので、山田さんとかにしときますわ。

 そんなお貴族様な山田さんに助けられ、鉢かづきを風呂焚きとして雇う事にしました。


 さて、この家に頭に鉢を被った女を愛する物好きがおりました。

 そう、四男坊です。


 四男坊と、頭に鉢を被ったおかしな女と結婚するのが、なんか生理的に受け付けられなかった山田母は、他の3人の兄さんのお嫁さんと、どっち優れてんの競争を提案します。

 3人の兄嫁と、頭に鉢被ったイカレポンチの、どっちが良いかっていうね。



 そして、そんな競争が迫った前日、なんと鉢が頭から取れちゃいました。


 そして鉢を取ったら、そりゃもう鈴木さんが望んた通りのめちゃんこ美人。

 おまけに頭の鉢以外は、ぜーんぶ優秀だったため、どっち優れてんの競争は、鉢かづきの一人勝ち。


 子供も出来て、ハッピー! ハッピー!


 おしまいっ!!




 ……なぁ、これのどこがシンデレラなん?

 新しく来た継母に虐められてぴえんしてる所くらいしか、ないんだけど?


 というか、良くこれとシンデレラを並べようと思ったな、マジで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【KAC20224】童話「鉢かづき」というツッコミどころ満載な童話を知ってますか? 帝国城摂政 @Teikoku_Jou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ