風に揺れる

美儚

プロローグ

どうしようもない恋をした。好きだと伝えることも、それ以上を望むことも叶わない恋。彼女の気怠げな視線も、短くて軽やかな髪の毛も、私を掴んで離してはくれない。もっと知りたい。貴女の心が欲しい。そう思えば思うほど、縮めてはいけない距離に絶望して、体が引き裂かれるような切なさに苛まれる。いっそのこと、バレた方が楽なのではないか。クラスメイトにも本人にも軽蔑されて嫌悪されて、私の居場所なんてすぐに無くなってしまうだろう。もういっそ、そんな青春でも良い気がする。


どうせ1年後には、私たちは交わることのない赤の他人なのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る