神川さんは氷属性
絶対に怯ませたいトゲキッス
第1話神川さんは氷属性
高校二年生の春。桜が散り、葉が青くなりつつある頃。N県N町にある私たちの学校に転校生がやってきた。
「みんな喜んで、珍しいことにこんな田舎に転校生が来ました。こんなことはめったにないわよ。」
ベテランの女教師は、彼女もまたはしゃぎながらそういった。転校生。自分たちには縁がないと思っていた教室は、一瞬静まり返りすぐに色めきたつ。
「どんな人かな?」
「面白い女の子がいいなあ。」
「あ、私朝見たー。」
次々に、自分達の思いの丈を吐き出す生徒たち。私の心も転校生という言葉を聞いた瞬間踊りだすのを感じる。
「じゃあ、入ってきて。」
先生の言葉を受けて、教室の扉を白く長い手が開け。そして、彼女が姿を見せたとき。教室中の生徒が息を呑んだ。
「神川納言です。よろしく。」
長い手足に、綺麗な二重。目鼻立ちも整っている。極めつけは、その白い素肌であろうか。まったく、付加事項を加えず淡白な自己紹介であったが、めったに転校生など来ないこの田舎の女子高の話題をすべて搔っ攫うほどには彼女は美人であった。
「ねえ、神川さん。どこから来たの?」
隣の子はさっそく、彼女に話しかける。
「東京。」
彼女はまた淡白にこれを返したが、この答えで教室は再度騒然とする。東京はここから五時間はかかる大都会だ。
「何で来たの?」
「父の転勤。」
ここに来た理由は案外一般的なものらしい。
「仲良くしようね。納言さん」
「・・・・・よろしく。」
結局、転校生は隣の女子生徒と一切目を合わせることなく会話を終わらせた。
クールで美人な女子生徒。神川納言の印象はその後一か月たっても、この初対面の時と同じであった。仲がいい生徒もたいしておらず、教室でも一人で凛と座っている。しかし、クラスの中で浮いていると言えばウソになるだろう。彼女に話しかけようとするものはどれだけ冷たくシンプルに機械的に返答されようとも後が絶たない。かく言う私はというと、話しかける勇気すらなくて一切関わっていないのであった。
私、皆峰まどかは文芸部である。文芸部、いささか地味な印象がもともとあるので、いまいち爆発的な人気は出ないが毎年数人は部活に入るので細々と活動し、この女子高の中ではかなり長い歴史を誇っている部活だそうだ。そんなことは本筋には関係ないのだが現在目下の問題は、今話題の転校生が文芸部へとやってきたことであった。
「誰が話しかける?」
彼女は今体験入部という形で文芸部が活動している図書室の太陽の光が差し込む右下の角でじっと本を読んでいた。ただ、静かに本を読んでいるだけなのに凛としている姿が華を感じさせる。
「まどか、部長でしょ。行ってきなさいよ。」
幼馴染である日空みそぎは彼女のトレードマークであるポニーテールをほんのり揺らしながらそう答えた。
「えー、緊張するんだけど。副部長大した仕事ないんだから、みそぎこそ行きなさいよ。」
これまた、教室の隅で話し合う私たち。こそこそ話なんて、陰険なことをしているつもりはなかったけれどそうなっているかもしれない。
「私は一回、塩対応されて心に傷を負ってんの。早く行く行く。」
みそぎはそう言うと、彼女の方向へと私の背中を強く押しだした。
「えっ、、、、あはは。」
大きな物音に、流石の転校生もこっちを見ざるをえなかった。やはり正面から見られると少しプレッシャーを感じる。
「ええっとー。神川さん、一応うちの部だと夏までに一つ。冬までに一つ。年に計二つ文章を書いてもらうことになっているんだけど・・・・あと二か月で書いてもらえるかな?」
・・・き、気まずい。返答が帰ってこない。
「・・・わかりました。ここにいる以上、最低限の義務は果たすべきですね。7月が終わるまでには提出します。」
「よ、よろしくー。」
彼女は一時も本から目を離さなかったが、私はそれよりも言うべきことを言えたことに安心をしていた。
「怖かったー。でも、意外と話せるかも。」
「えー、でも目合わせないのはちょっと感じ悪くない?」
「まあ、それはね。」
でも、思ったよりは絡みやすい人物ではあるのかもしれない。
「文芸部に入りたいんですが、、、」
「私も・・・・」
問題というのはコミュニケーションが取りづらいということではない。目の前にいる女生徒たち。つまり、神川さんに引き寄せられるようにして文芸部に入る女生徒である。謎の転校生の人気は、転校生という特異的で一時的な属性がはがれかかっているにもかかわらず落ちることなく、むしろ上がり続けていた。例えば、校内にファンクラブが結成されるほどに。
彼女たちの視線は、図書館の蔵書や小説を書くという行為にではなく神川納言という一人の部員に向けられているのだろう。
「どうする?みそぎ。絶対文芸部志望ではないよね?」
「断っちゃえばいいじゃん。文芸部はファンクラブじゃありませーん、って。」
「私がそんなことできない性格なの、知ってるでしょ。みそぎと違って私は気弱なの。みそぎが行って。」
「えー、もうしょうがないなあ。」
嫌々、といった感じでみそぎは立ち上がった。そのまま、ゆっくりと入部希望者の方へと向かっていく。
すうー---、とみそぎが深く息を吸った。
「我が部では!!!」
入部希望者が少し体を後ろにそらした。
「五万文字の文章を事前に提出していただけないと、入部は許可いたしません!!!」
う、うん。そこまでやれとは言ってないけどね。
とにかく、それで入部希望者はクモの子を散らすように逃げていった。これで私達の部活の問題はある程度解決したはずだった。
ただ一人を除いて。
「書いてきましたわ。これで入れてくれるわよね?」
目の前の女生徒はクルクルに巻いた髪を巻きながら、重そうな包装紙を手に持っていた。同じ制服を着ているはずなのに、彼女はドレスをまとっているようで少し気後れしてしまう。彼女も彼女でその容姿からこの学校では有名な生徒である。
「は、はい。」
包装紙が解かれ、目の前の机にドカンと置かれた大量の原稿用紙。二万文字分以上あるかもしれない。
「見てもいいですか?」
「ご自由に。副部長。」
真っ先にみそぎは原稿用紙の元へ走り出す。何枚あるんだ、二万割る四百で、、、五百枚以上?!!!!そして、
「て、手書き。」
「今の時代に・・・・」
紙にびっしりと巧拙な字が書き連ねてある。これを書くのに何時間かかったんだろうか。筆者の几帳面な性格が垣間見えた。
「手書きで申し訳ないわ、パソコンは苦手なの。」
「苦手って、、、、、」
そんな次元ではない気がする。
「と、とりあえず、中身を読んでくださるかしら。」
彼女は恥ずかしそうに顔を横にそらし、頬を赤く染めている。どうやら、自分が書いた小説の感想を聞きたいのだろう。その気持ちは極めて理解できる。
「うん、面白かったよ。」
長い原稿を読み終わったみそぎは始めにそう言った。イギリスの童話を読んでいたらしいお嬢様は嬉しそうに頬を緩ませる。あらら、みそぎはまた良くないことする。
「でも、優等生すぎて面白みがない、かな。」
この一言で、女生徒の顔の筋肉が一瞬のうちに硬直した。
「みそぎー、相変わらず厳しいよ。多分書いたのは初めてだと思うから、もう少しオブラートに包みなさい。」
「えー、でもいいと思うよ。この文章。私は好き。」
そこの新入部員が君の評価に大変戸惑ってるじゃないか。みそぎは、人の文章を真っ先に読みたがる癖にこの性格だから評価に手心を加えない。
「でも、この評価は誇っていいよ。今回はだいぶ誉めてる方だと思う。」
私を含む部員の文章には、もっと辛辣な評価を下すことも少なくない。私の言葉でやっと止まっていた時間が動き出したように、新入部員?は大きく深呼吸をし始めた。
「そ、そうですか。ありがとうございます。一応、最初とはいえ自信作ではありましたのですが。」
まだ恥ずかしいらしく、目を合わせてくれない。足も不安げに不規則にリズムを刻んでいた。
「じゃあ、次は私が読ませてもらうね。」
「ど、どうぞお読みになって。」
さて、こういう経緯で私たちの部活には部員が元いた六人に転校生とお嬢様という新属性を加え八人になった。八人になったところで変わったことはあまりないがあえて言えば、、、、
「神川さん、この本はお読みになりましたか?」
「いえ。」
「神川さん、一緒に帰りませんか?」
「父が車で迎えにきてくれているので。」
「神川さん、わたくしの小説を読んでくださりませんか?」
「ごめんなさい、如月さんの小説には興味がわきません。」
といった風に図書室の角でひたすらお嬢様と元転校生との押し問答が繰り返されているという点であった。
如月さん。私達は一週間後真美ちゃんと呼ぶようになるのだが、神川さんと懸命にコミュニケーションを取ろうとしているようだった。高校入学当初からそのきれいにセットされ巻かれた髪と、育ちの良さが見える言葉遣い。そして、THEお嬢様といった外見と中身をしていながら全く鼻にかけてない態度から、変わり者の人格者といわれている。しかし、流石に知名度は神川さんほどではない。一クラスの人気者ぐらいの立ち位置である。確か、神川さんとは違うクラスだった。
「ちなみに、文芸部入ったのは神川さん目的?」
みそぎと私は気になって真美ちゃんに聞いてみたことがある。
「そうですわ。わたくし、校内であの方を一目見たとき運命を感じましたの。」
恥ずかしがる様子もなく、真美ちゃんはそう言った。
「へ、へー。」
「そのために、あんなに文章書いたんだ、、」
「ええ、少し大変でしたが面白かったですわ。」
「ふっはっはっはっはっは。やっぱ面白いね、真美ちゃん。」
みそぎの朗らかな笑い声が部室に響いた。
「神川さんは男性が苦手らしい。」
そんな噂が流れ始めたのは中間考査中のことだった。彼女は女子、もしくは女性と話すときは正面を向くもしくは横顔で話すのだが、男性教師と話すときだけ顔が下を向いているというのだ。最初はデマかと思ったが注意深く観察してみると確かに、彼女は男性教師と話そうとしていない。そもそも、会話を露骨に避けようとしている。
「うちにも何人かそういう人いるよね。」
「わたくしも少し苦手ですわ。」
真美ちゃんがすっと手を挙げた。
「そんなに噂になることなのかな?」
「人気だからな―神川さん。少しでもそういうのがあったなら広まっちゃうんでしょ。」
神川さんが転校してきて、三カ月がたっただろうか。彼女の冷たい態度もだいぶ暖かくなった、、、ような気がする。
「はい、かなり対応が優しくなってますわ。違いありません。」
真美ちゃんの太鼓判ももらってしまった。
「今までなら一つの返答で会話が終わってしまったのですが、今はあの方の返答から会話を続けようという意思を感じます。」
前の状況が悲しすぎるでしょ。
「あー、確かに。神川さんから話しかけられることはないけど返答にとげがなくなった・・・ぽい。」
神川さんファンクラブも落ち着いたぽいし、なんにせよ部員達の仲が良いことは部活にとって重要である。喜ばしいことだ。
「では。今年度も文芸部夏合宿を決行します!!!!!!」
文芸部夏合宿。大業な名前をしているが学校から車で一時間半ほどの海岸の民宿に一泊二日で遊びに行くだけである。もちろん執筆などしない。ひたすら海で泳ぎ、遊ぶのだ。
「神川さんも来るよね?」
一応確認しておこう。
「ええ、もちろん。といいたいところですが、一応母の許可を取ってから参加させていただきます。」
やっぱり表情が柔らくなっている。ころころ顔の表情も変わるようになった。こう見てみると神川さんは本当に美人だな。
「わかった。楽しみにしてるね。」
今回の合宿も思い出がたくさん作れそうだ。
「どうもー、納言の姉の真琴です。よろしく!」
勢いよくそんな挨拶をしてその女性は合宿へと行くバスの駐車場に来ていた。
「すいません、こんな姉で。三日間よろしくお願いします。」
遅れて神川さんがやってきた。
「あははは、美人のお姉さんじゃん。日空みそぎです。よろしくお願いします、真琴さん。」
みそぎが対応してくれた。正直こういうタイプの女の人は苦手だからありがたい。
「ありがとねー、よろしくみそぎちゃん。」
そう頭を下げた真琴さんはTHE都会の垢ぬけた美人と表現するのが正しいだろう。綺麗な二重に少し派手な服装。神川さん・・はどっちもそうだから妹の納言さんの方、を花に例えると凛とした百合であるのに対し、真琴さんは薔薇であろうか。危うさもともに孕んでいる。
今回、納言さんが合宿に行く条件として彼女の母が提示したのは姉真琴さんの同行であった。なんでも、土地勘がないのと未成年の少女達と引率の先生一人で合宿に行かせるのは不安らしい。最もな意見であり真琴さんも19歳で年が近いということで、彼女は文芸部員ではないのに合宿に同行することとなった。
「あなたが真美ちゃん?」
真琴さんは、さっそく真美ちゃんに話しかけにいっていた。
「あ、はい。わたくしが如月真美ですわ。」
真美ちゃんは目を合わさず頬を赤く染めている。わかるよ、グイグイ来られるときついよね。特に美人だと。
「やっぱり?納言が結構話してたからわかったんだよねー。」
楽しそうに納言さんの方を見た。
「ちょ、やめてよ。姉さん。」
慌てて納言さんは真琴さんの口をふさごうとした。
「そ、そ、そ、そうなんですの?!!」
真美ちゃんは興奮した口調で問いただす。
「そうだよー。例えばねー。」
「だめだめだめ、だめよねえさん。」
「えー、私も聞きたい。」
「日空さん??」
大興奮の中、バスは進んでいく。
朝十時にも関わらず、日本の夏は暑かった。海辺から流れてくる湿った潮風は肌にへばりつくような感触を残す。
「綺麗。」
「東京の海とは比べ物にならないね。」
ここの自慢であるエメラルドブルーの透き通った海。地元民しか知らない穴場であるこの海岸には人気がなく、三組の家族連れ以外には私達しかいない。
「じゃあ、早速泳ごうか。」
「行きましょう!!!真琴さん!!」
遠泳組はもう泳ぎ始めるらしい。みそぎはさっそく真琴さんと仲良くなってるみたいだ。真琴さんの水着は、、、、まあスタイルが良い彼女に似合っているビキニであるとだけ言っておこう。
「まどかさんは泳ぎに行きませんの?」
そう言った真美ちゃんの水着は隠れている肌の面積が多い。うん、多すぎて違和感があるくらいである。彼女の水着はダイビングスーツのように彼女の肌を覆っている。暑くない?それ。
「みそぎについていけるほどの体力ないからな―私。」
みそぎは遠泳がとても得意で、10歳のころには大の大人達に混ざって大会に参加していた。
「まあ!では、わたくしと砂遊びでもしませんか?実はわたくし髪が海だと絡まってしまうので泳ぐのが苦手でして。」
真美ちゃんはそういいながら彼女の長い長い髪を触る。いつもは、ふわふわロールだから気づかなかったけど彼女の髪は腰まであるみたいだ。確かに、海に入ったら流木にも絡まりかねない長さである。
「お、いいよ。スイカ割りでもする?」
「すいかわり!!!一回やってみたかったですわ。」
じゃあ、スイカを用意してと。
「それで目隠しをしてスイカを割るんですのね。」
彼女はやる気満々といった風に勢いよくバットを振った。
「わたしもやっていい?」
そう言ったのは神川さん。彼女は極めて一般的な水着を着ていた。ただ彼女が着たらとても素晴らしいもののように思えてくる。というか、肌綺麗だなー神川さん。
「神川さんも泳げなかったりするの?」
「うん。泳ぐのは苦手なの。」
「一緒ですわ。」
大体の事柄が得意そうな、隙がない神川さんのことであるから海が苦手なのは意外である。
「意外だなー、神川さん。なんでもできると思ってた。」
「そんな風に思われていたのですか?」
驚いたようで、彼女の細長の眉が少し上に上がる。
「ええ、わたくしも。」
「真琴じゃあるまいし。私はにはあと二つほど苦手なものがありますよ。」
あと二つ。いつか教えてもらえる日が来るのだろうか。
「右右右、右に行ってください。如月さん!」
「右?わたくしは今右に進んでますわ!!」
砂浜に大きく丸いスイカが転がっている。試しにスイカ割り初心者の2人だけで遊んでみたが、やっぱり面白いな。私と神川さんから見るとスイカが左にあるのに、真美ちゃんはひたすら右下に向かって進んでいる。
「如月さんから見て、右です!」
「だから、私からみて右に進んでいるでしょう。」
イイ感じに嚙み合ってない。
「ふっはっはっは!面白いなー、二人とも。」
「笑わないでください!」
「失礼ですわ!」
ぷっ、二人とも真面目にやってるのがさらに面白さを掻き立てている。
「ファンクラブの子達にみせてあげたいなー。」
夏の暑さはまだまだ加速する。二人の頭に汗の球が光っていた。
文芸部夏合宿の夜、毎年その日に夏祭りが行われる。県外から人も来る大々的な祭りである。
文芸部二年生四人+その親族一人は一緒に夏祭りに来ていた。
「わたくし、金魚を釣りたいですわ。ぜひ、家の水槽で飼いたいんですの!!」
真美ちゃんの家の水槽は、多分鯉とかが入ってるタイプだと思うが。
「私と納言ちゃんはりんご飴でいいかなー。」
みそぎの遠泳に無理やりついていって真琴さんはゼーゼーハーハー言っていたが今はすっかり回復している。
「あいたっ!!」
いや、思いっきり足がもつれている。体へのダメージはやはり大きいらしい。
「じゃあ、りんご飴を食べながら金魚釣り行きましょうか。」
「それがいいですわ!」」
パク。パク。パク。パク。パク。パク。
「うん、おいしいですね。」
「これが食べたかったんだよねー。
神川さんと真琴さんはすごい幸せそうな顔をしてりんご飴をほおばっていた。さては大好物だな。
「金魚釣りですわー-。」
綺麗な赤白模様の小さな魚たち。
「私、昔からにがてなんだよねー。金魚釣り。」
「みそぎは脳筋だからねー。」
「ん?」
「なんでもないよー。」
いつも網をすぐに破っちゃうからねー。
「一回百円だよ。」
「わかりましたわ。」
真美ちゃんはゆっくりと。そして、慎重に水へと網を進めていく。
「それはゆっくり過ぎて逆に・・・・」
網を水に上げた瞬間、ふにゃりとふやけ破れてしまった。
「力加減が難しいですわね。もう一回お願いします。」
「毎度―。」
次は、さっと網を引き揚げた。残念ながら魚は網から落ちる。
「今度は早すぎましたわ。」
「惜しいですね。」
何カ月か一緒に過ごしてわかったことだが、真美ちゃんはつまり如月真美は不器用である。美術の課題もそこまで上手にできていない。勉強も運動も文章もキラリと光るセンスがあるわけではない。しかし、彼女は諦めない。できるようになるまで彼女はやり続ける。
「次ですわ。」
「毎度ー。」
そして、網は豪快な水飛沫を上げて金魚をすくい上げた。
狙った獲物を吊り上げるまで。
お祭りも佳境にさしかかり、人の流れが最高潮になったころ。
「あの、皆さん。すこし聞いてほしいことがあるんですが。」
神川さんがそう切り出した。
「どうしたの、神川さん。」
みそぎが少し心配そうに顔を覗きこんでいる。彼女は少し顔を俯きに下に向けていた。
「姉さんのこと、真琴さんって呼んでますよね。」
そういえば。いつの間にかどちらも神川さんだとややこしいので、そういう呼び方になっていた。
「そうだね。」
私の言葉に顔が少しピクリと反応する。沈黙を少し挟んで、神川さんはこういった。
「私のことも、下の名前で呼んでくれませんか?」
顔を上げると、彼女の美しいそれの頬は紅潮していた。言い終わり、顔を上げたあと。また顔を横に向けた。
「・・・・いいんですの?」
初手に反応したのは真美ちゃんだった。
「はい。というか、お願いします。」
最初は真っ直ぐないい声。どんどん後に行くにつれて、消え入りそうな声になっていく。
「な、納言さん?」
その言葉の重みを確かめるように、一つ一つ噛みしめて真美ちゃんは発声した。
その声を聞くと、さらに神川さんの顔は横に向く。
「納言ちゃん。」
みそぎのその言葉は自然に、そう出てきた。ずっとそう呼ぶタイミングを計っていたのだろうか。
「ちゃ、ちゃん?大胆ですわね、みそぎさん。」
そして、視線は全部私に向けられた。
「で、まどかは呼ばないの?」
「わ、私?」
そうか、私の番か。
「ふーっ、。」
言うぞ言うぞ。心臓の鼓動が少し早くなっているのを感じる。神川さんの端正な顔がいつもより近い気もする。
「納言ちゃん。」
私の小さなその言葉を聞くと、納言ちゃんは横顔で静かに笑ったのだった。
「納言さんと真琴さんはどこでしょう?」
最初に気づいたのは真美ちゃんだった。
「うん?さっきまでそこで射的してたよね。」
真琴さん射的うまかったなー。
「ええ、そうだったんですが。」
確かに私達の周りにいない。
「迷子・・・はないと思うし。まあ、真琴さんもついてるから多分大丈夫でしょ。」
そういっても、真美ちゃんの表情は晴れない。
「そうだと、いいんですが。」
「心配だよねー。」
みそぎも同じ意見らしい。
「じゃあ、探そうか。」
祭りの人ごみをかき分け、探しに行く。私も少し胸騒ぎがしてきた。
「確かこの区画に、、、」
りんご飴屋に二回も行く道理はないか。もちろん、そこにはいない。
「携帯にもでないね。」
みそぎは移動しながら電話をかけていたらしい。
「ま、まずいですわ。早く探さなくては!分かれて探しましょう!」
「真美ちゃん、落ち着いて。私達がわかれたら合流するのがまた大変になっちゃうでしょ?」
少し、思考が前のめりがちな真美ちゃんと違ってみそぎはきっちり落ち着いている。
「そうだね、三人で動こう。走るよ!」
「どうやらはぐれちゃったみたいだね。」
真琴は周りに妹の同級生たちがいないにやっと気づいた。
「姉さんが射的に夢中になりすぎるからでしょ。どう考えても、屋台の一つの景品を取るのに二千円かけるのはやりすぎよ。」
「いいじゃん、このゲーム機買うためには駅まで行って何時間も並ばないといけないんだよ?」
私を同級生達から連れ出して十五分も待たせておいて何も反省していないな、この姉は。
「じゃあ、早く皆峰さん達と合流しないと。」
「せっかちだなあ、納言ちゃんは。」
今だゆったりと構えている姉を急かし、私は友達三人を探そうとしていた。
「ねえ、お姉さんたち。今暇?」
この言葉を聞くまでは。
「綺麗だね、姉妹?」
「どこら辺に住んでるの?」
「やめてください。」
お姉ちゃんは凛々しい態度でそう言った。
目の前を見ると、体格がいい男が三人。自分の顔の表情が怯え、心臓の音が急激に早くなっているのを感じる。心の底からの”恐怖”。人生二度目の経験に声も出せない。
「返事してよ。」
がっしりとした気持ち悪い手で腕をつかまれ、私は深い深い記憶の狭間へと落ちていった。
中学三年生の蒸し暑い夏のことである。早朝のはずなのに、蒸し風呂のように熱い東京の通学路を私は数人の女子生徒と歩いていた。
「はは、君どこに住んでるの?」
そいつは公園にいて通勤バッグを持ち、いかにも偶然立ち寄ったようであった。しかし、私と私と一緒にいた女子生徒は知らない人に話を振られても答えてはいけないという当然の事実を知ってはいたので無難に返答をした。
「どなたですか?」
ああ、そうだ。今受けた質問と大分似ている。
「お姉ちゃんいるんだ?」
気持ち悪い男だった。髪の毛は異常なほどサラサラで、身なりも気持ち悪いほど整っているという印象を受ける。顔はぼんやりと靄が掛かっていて、今はみえない。
秋のことである。
「あの人?別に不審者ぽくはないけど。」
「でも、最近通学路に毎日いるんです。」
「そう?じゃあ、注意しておくね。」
小太りの婦警はそう言った。けど、一か月。ただのそれだけで、男はまた私の通学路に帰ってきた。
真冬のことである。私の家族は私を心配して、私は姉と一緒に通学することにしていた。加えて、通学路も大幅に変えて時間はかかるが人気が多いところをなるべく通るようにした。これで、万事解決したはずだった。
忘れもしないあの出来事。雪が降った夜である。その男がいたのだ。遅刻しそうだったので今回だけと通常の通学路に戻した時だった。姉がわたしの前に立って、私をかばう。
「おい!!俺を避けてたな!!」
男は私達を見るなり、突如大きな声を出した。その時、手をつかまれたのだ。今より大きい手で。
「姉さん!」
助けを求めた真琴も、同じように男を見て顔をゆがませた。姉も怯えていたのだ。男の体格がどんな熊よりも大きく見えた。そして、大きな車に二人で連れ込まれて。
そして、そして。
神社の前。一番人が集まっている区画である。
「ここで見つからなかったら、もう一度探し直しですわね。」
真美ちゃんがため息をついた。もう三十分は探している。
「その必要はないみたいだよ。」
みそぎは厳しい表情である方向を指さした。
「どういう、ことですの。」
二人は三人の男達に囲まれていた。耳にピアスをつけて、残念ながらいい印象は受けない。
「友達、じゃないよね。」
「うん、間違いなく。」
二人は美人だからナンパでもされたのだろうか。
「とりあえず、もう少し近づこう。ここからだと、どういう状況かわかんない。」
近づきながら見えたのは、酷く怯えた表情で体の動きが止まっている納言ちゃんと小さく声を上げようとしている真琴さんの姿だった。ふと、納言ちゃんは男性が苦手らしいという噂が頭によぎる。
「あんたたち、私の友達に何してんの!!」
気付いたら、不良たちの前に私は立っていた。
「お、おう。」
「君、友達かい?」
二人の男も私の登場に少し驚いたようである。
「やだなあ、友達二人と話そうとしただけじゃないか。」
にやにや笑いが張り付いたようなもう一人はそう言い訳した。
「二人とも、嫌がっていますわ!!」
真美ちゃんにもいつも声量はない。
「ことを荒立てないでくれよ。なんなら君たちが僕と遊んでくれてもいいんだよ?」
生理的な嫌悪感。私はナンパをされるという経験が皆無だったので、男の視線が刺さった。怖い。生物的な恐怖が私達に重くのしかかる。
「あんまりしつこいようだったら、警察を呼びますよ。」
みそぎが勇気を出してそういわなければ、多分私たちはそのまま動けなかっただろう。
夏祭りから一週間。私達は近所の図書館で部屋を借りて、部活をしていた。学校の図書館は夏休み中あいてはいるが、残念なことにクーラーが効いてないので極めて熱いのである。
「うーん、書けないよー。プール行きたーい。まだあと一週間あるでしょー。」
みそぎは退屈そうにパソコンの前でひたすら足をばたつかせている。
「えー、あとかいてないのみそぎだけだからね?早く書いて。」
「はいはい。」
私の幼馴染は運動神経もいいし、勉強もできる。ただ、文章を書くのは特別苦手である。
「書きたいものがないんだけどー。」
「それでもかーくーの!」
一年生の時は、なにも書かなくても許していたが副部長が何も書かないというのは流石におかしい。
「真美ちゃんもなんか言ってやってよ。」
「ま、まあ二千文字ぐらいは書いたらいかがでしょう。」
少し遠慮がちにそういう彼女。
「そういう真美ちゃんは、いくら書いたのさー。」
「私は二万文字書きましたわ、もう少し書きたかったのですが、予算に収まらないので却下されました。」
何も言えなくなるみそぎ。というか、真美ちゃんは入部した時にすごい量の文章書いてたから今回も書くだろうに。
「みそぎ、なんで高1の時に文芸部入ろうと思ったの?」
そういえば聞いたことがなかったので、今回聞いてみる。
「まどかに誘われたから?」
あー、そうだったわ。忘れてたけど。
「だって、私の文章に綺麗なアドバイスくれるじゃん。向いてると思ったんだけどなー。」
「だからだよ。自分で文章を書いても自分の文章の悪いところがわかって、やる気が失せちゃう。」
そういうこともあるのか。
「でも、書いてもらうからね。がんばって。」
「えー。」
口を曲げながらみそぎはまたパソコンの前に座った。どうせ今日は書かないだろうけど。
「そういえば、来ないですわね。納言さん。」
その話題が出たとたん、場の雰囲気が少し重くなる。夏祭りの時から、納言ちゃんは部活に来ていない。
「みんなで夏祭りから帰った後、納言ちゃん何も話さなかったもんね。」
三人の男達から解放された後も、彼女の死にそうな青白い顔は変わらなかった。夕ご飯を食べ終わった後も寝る時も。男性が苦手だと言っていたが、私もああいうタイプの男はとても苦手だ。そもそも男の人は苦手だから、嫌悪感もさらに増すのだろう。
「真琴さん、ナンパに慣れてないの意外だったなあ。」
「わかる。」
真琴さんはナンパに対するあしらい方も一通りできると思っていた。今まで何回もされてそうな見た目をしているし。
「・・・待ってたら来るでしょうか?」
・・・・こないだろうな。
「来ないだろうね。」
「では、どうすれば。」
来てくるれるのだろうか。私達も同じ思いだ。一人かけるだけで、寂しく感じてしまう。
「家に行けばいいんじゃない?」
相変わらずみそぎの提案はストレートだ。だけど、今はそれが最適解な気がする。
「行きますか、納言ちゃんの家。」
「行こう!」
「行きますわ!」
「でも、みそぎは先になんか書いてね。」
「げっ。」
神川さんの家はとても大きいわけでもなく。小さいわけでもない。平均的な住宅であった。住宅街から、少し離れたところにあったため探すのは一苦労だった。
「誰が鳴らす?」
「じゃ、わたしが。」
ピンポーン、勢いよくインターフォンが鳴る。
「すいませーん、私達納言ちゃんの同級生である文芸部の生徒なんですけども。」
「神川さんが心配で見に来ましたの。」
機械からは何も流れてこない。
「あのー。」
シャッターや窓などは私たちを拒絶するかのように全部、ぴしゃりと閉まっていた。
いないのだろうか。それとも、私たちを入れたくない理由がある?
「君達行動力あるねー、いいよ入ってきて。」
入った瞬間、みそぎは顔を殴られた。いや殴られそうになった。
「いーっ!!」
寸でのところで彼女は避けたが。
玄関の目の前にいた老女はしわくちゃの肌に白髪といった容貌で、今も私たちを恨みがこもった眼で見つめている。あまりに特徴的な容姿なので、一度会ったら忘れるわけがなく自信をもって初対面といえる。
「あんたたちがわたしの娘を!!」
娘、ということは神川姉妹の母親なのだろうか。残念ながら、姉妹のような美貌はこの老女にはいない。
「お母さん!もうやめて。」
納言ちゃんの声が階段の上から聞こえた。
「納言さん!」
納言ちゃんは最後に見たときよりも、少しやせているように見えた。顔色もあまりよくはない。
「どうして、私の家に来たの?」
先に沈黙を破ったのは納言ちゃんだった。
「心配だったからですわ。」
「そうだよ、あんまり部活にも来てなかったから。」
納言ちゃんはその返答を受けて何も答えない。
「ねえ、何で私が男の人が苦手になったか、知りたくない?」
唐突な質問。
「うん。」
反射で私はそう答えていた。
納言ちゃんは話してくれた。東京での出来事のこと。おそらく、一生ものの傷を負ったその出来事を。想像を絶する経験に私たちは声も出なかった。
「・・・・事情は分かりましたわ。しかし、男の方も悪い人ばかりではありませんわよ。」
「それはわかってる。」
消え入りそうにか細い声だった。
「実は、その人達が怖かったんじゃないの。」
「どういうことですの?」
「ストーカーが少し先にいたの。」
想像を絶する事実だった。
「勘違いとかじゃない?」
「ううん。間違えるわけない。」
ストーカーは東京からこの山奥まで追いかけてきていたのだ。
「でもさ、このままだと一生家の外に出れないよ。」
次の瞬間、私の口から出た言葉は信じられないほど冷たい言葉で。反射的に私は口を抑えた。
「まどか?」
みそぎは信じられないといった視線で私を見つめ、神川さんは沈黙し続けていた。
「お母さんはああいってたけど、納言は嬉しそうにしてたよ。ありがとう。」
帰るときに私たちはそういわれた。真琴さんも気丈にふるまっているが、なかなか精神には来ているものがあるはずだ。
「何かできることはないでしょうか?」
難しいんじゃない?という言葉を飲み込む。あまりにも冷たすぎる。私はおかしくなってしまったのかもしれない。
ストーカの基本性質として、同じ目標に固執し続けるというのがある。それぐらい好きでなければストーカ―などやってはないだろう。そこで、私は考えた。どうしたら、納言ちゃんは安心して学校に来られるかと。
「ストーカーをつかまえよう。」
みそぎと真美ちゃんはきょとんとした顔をしていた。
「ストーカーを捕まえたら、多分神川さんも安心してこれるはずじゃない?」
「それはそうですが、、、」
「どうやってやるの?まどか。」
まあ、そうなるか。
「二人とも近くによってよ。・・・・・これが、
これだから。こうして、そうなって。」
「確かにそれならいけるかもしれないね。」
「ほんとに行けるでしょうか・・・」
「君達、この学校の子かな?」
来たー、と私は心の中で叫ぶ。高身長で少し鼻筋が通っている顔、少し派手なスーツ。納言ちゃんに聞いた通りである。ほんの少しだけガラが悪いカラオケ店(真美ちゃんはどうしてもいやだと言っていたが無理やり説得した。)でストーカーが話しかけるのを待っていた。男はうちの学校の教員募集と張られた紙を持っていた。私達が作った紙を大事そうに持っていて結構なことだ。
「はい、そうです。」
「そうなんだ、来年から君達の学校に勤務することになった佐久間です。」
ウソをつくのが速いな。やっぱりこの男だと確信した。うちの学校が教員を募集しているはずがないのだから。
「遅いから早く帰るんだよ。」
流石にまだ信用されてはないか。
「はい、帰ろまどか。」
ここはおとなしく引き下がった方がいいだろう。怪しまれる。
「また会ったね。」
翌々日、私たちは町で買い物をしていた。ちょうど町のはずれのお花畑に来た時である。
「こんにちは。」
今日は三人で来たので、いつもより安心感がある。
「君達文芸部なんだっけ?」
この発言には少し虚を突かれた。
「え、何でわかったんですか。」
「HPにのってたからさ。」
HP?本当だろうか。
「今日はもう一人の女の子は一緒じゃないんだね?」
もう一人の女の子。納言ちゃんのことだろう。こいつがその名前を出すのは許せない。
「納言ちゃんのことですわね?」
「納言っていうのか、あの子。」
つい殴りたくなってしまう憎たらしいその顔。
「ええ、美人なんです。」
「あ、わかる。あの子美人だよねー。」
こいつが笑みを浮かべるたびにやるせない感情になる。
「家とかに遊びにいったりするの?」
「そうですね、つい一週間前に遊びに行きました。」
不意に、彼から笑顔が消える。
「そうなんだ、じゃあ。家を教えてくれる?」
本性を見せたな。屑男め。
「教えませんけど。」
「そう、じゃあ。」
自然な流れで真美ちゃんを彼は殴った。思わず、私たちは動けない。
「え?」
みそぎは戸惑っている。まずいな、こんなに短絡的だと思ってはいなかった。
「あの子、何で僕とは遊んでくれないのに君達とは遊ぶんだろうね。」
そういいながら、みそぎの腹にも拳を食らわせた。真美ちゃんも頭から血を流している。
「教えてくれないともっと友達を殴ることになるよ。」
「許せない。」
私は男の金玉をけりあげた。
「う!!!やっぱり衝撃は来るな。」
「いったー---!!!」
ただ、私の足には明らかに金属性の触感が伝わってきていた。
「いざって時のために備えてたんだよねー。」
男が、、迫る。
「佐久間―!!!!!」
納言ちゃんの声が遠くから聞こえた気がする。幻聴だろうか、もう目の前には男の拳が迫ってきている。私達はこれから、、、、どうなるのだろうか。
「うげっ!!!!!」
最初に見えたのは目の前の佐久間の徐々に歪んでいく顔である。そして次に見えたのは、りんごのパンツ。
「大丈夫?みんな。」
「納言ちゃん・・・?」
彼女はいまだ部屋着のままである。
「なんでここに、、、」
「まどかに言われたこと、ずっと考えてたの。それで家から出たらあなた達がこの屑に殴られてるのが見えたから。」
そうやって笑った彼女の顔は今までで一番すがすがしく美しかった。
「あー、神川納言ちゃん!!!まさか君から来てくれるとは思えなかったよ。」
そして、転んでいた男も立ち上がった。
「俺にもその笑顔を向けてくれ!!!もっと仲良くなろう!!!」
「いやよ。」
彼女は、今度は周りを凍りつかせる笑顔でそう言って。男のあごを殴り上げた。
テンカウントするまでもなく、完璧なノックアウトであった。
二学期
「どう似合ってる?」
納言ちゃんは夏休みが終わった後少し伸びていた髪の毛をさっぱりと切ってショートカットにした。ファンクラブも夏闇が開けて、彼女は新しい髪形と明るい性格になったので再燃しているらしい。
「はい、お似合いだと思いますわ。」
真美ちゃんも頭に巻いていた包帯が取れ、もとに戻っている。
「じゃあ、今日も張り切ってっこー!!!」
「みそぎは今日も元気だねえ。」
文芸部は今日も元気に活動するようだ。
神川さんは氷属性 絶対に怯ませたいトゲキッス @yukat0703
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