金嫌い少女の死神守銭奴ライフ
元薺ミノサト
第1話 金の亡者
「さようなら、私はこの世界を捨てて一人空へ飛び立ちます」
ビュウッと耳を掠める重く大きい風の切る音
足をあと半歩出せば私の体はネオンの夜景が浮かぶ他人の目によって一瞬だけの芸術品とも等しい背景と共になる
ビルの屋上でゆっくりフェンス越しの地面に足をつけば冬の夜風が私の体温を奪って、もう手も足も顔も全ての感覚が無くなっていく
鼻が痛い、きっと冷たい風に刺されたせいだ
目が痛い、きっと冷たい風に晒されたせいだ
この絶望と一方的な意識の世界にお別れを
後ろ向きに全身を襲う浮遊感を感じながら、ゆっくり目を瞑る
空にポツリポツリと残されていく光る小さな雫が街の光に反射して綺麗だった
この視界を写真に収めて売ったら、一体何円の価値が生まれるのやら
「文ちゃんッ!!!!!」
誰?何で貴方まで……
嗚呼そんなっ!ごめんなさい……!!
もう何も見たくない、と手で顔を覆い歯を食いしばり早く早くと落ちる瞬間が来るのを気持ち急かす
所詮私はその程度
その程度なのに何故貴方は私に手を伸ばして今もそんなに泣いてるの?
グシャリ、花が握り潰されたかのようにいとも容易く私の体と心が潰れた
これでいい、これが正解
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