かまってほしい後輩ちゃんは悪戯をする

御厨カイト

かまってほしい後輩ちゃんは悪戯をする


「ねぇー、先輩ー!ちょっとこのシュークリーム食べて見て下さいよ!」


そう言いながら凛は小ぶりのシュークリームを俺に渡してくる。


「いきなりどうしたんだ?」


「いや、ちょっと作ってきたので先輩に食べてもらおうと思って。」


「なるほど、じゃあ、いただきます。」


俺はそのシュークリームを勢いよく頬張る。

それがダメだったのだ。



「グフッ!ゴホッゴホッ!」



食った瞬間に俺は思いっきり咳き込む。


「てめぇ、これからし入ってんじゃねえか!それもたっぷりと!」


そう、このシュークリームにはパンパンにからしが入っていたのだ。

ホイップクリームとかカスタードが入っていると思った俺は思いっきり頬張ったことでからしをもろに食らってしまった。


俺が痛さに悶えているときも凛はヘラヘラしながら水を持ってくる。


「先輩、大丈夫ですか?」


「からし入りのシュークリームを食べて大丈夫だと思ってんなら眼科行った方が良いな。」


「ですよね~。」


「おまえ、いったいどういう意図でこんなことやったんだ?」


「ぐふふ、悪意です。」


「んなことは分かっとるわ!これが善意であってたまるかよ!ホントにもー、そうじゃなくてこんなことをした意味だよ。」


「そんなこと決まってるじゃないですか。先輩が最近構ってくれないからですよ。」


「えっ?」


「だって、最近先輩、バイトだとか卒論とかで忙しくて全然構ってくれないじゃないですか。後輩悲しいですよ。」


「・・・そんな理由でこんなイタズラを?」


「そんな理由って何ですか!結構な理由ですよ。」


凛はプーと頬を膨らませて抗議してくる。


構ってほしいから、こんなイタズラを・・・

ふっ、まったく俺は可愛い後輩を持ったもんだぜ。


「はぁー、そうか。それは悪かったな。今週の土日はバイトは無い、論文も書く気がない。だから久しぶりに一緒に出掛けないか?」


俺がそう言うと凛はパァーと顔を笑顔にさせる。


「え、いいんですか!やったー!私、先輩と行きたいところがあったんですよ。」


「あ、ホント?いいよ、行こう。」


「スイパラでもいいですか?」


「・・・いいよ、行こう。」


「ホントに大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ、久しぶりにお前と出かけるんだ。どこでも行ってやるさ!」


「先輩・・・、じゃあ、週末楽しみにしてますね!」


「おう、じゃあまた明日な。」


「はい、また明日!」


俺はそう言って凛と別れる。


スイパラか・・・、甘いのはそんなに得意じゃないがいい機会だ、食べてみることにするか。

まったく俺は可愛い後輩を持ったものだ


そう俺は週末の出来事にワクワクしながら帰路に就いた。



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かまってほしい後輩ちゃんは悪戯をする 御厨カイト @mikuriya777

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