短編小説集

真月 洋

らーめんデート


顔と顔が向かい合うというより、この場合は麺と麺が向かい合うと言ったほうが正しいのか。


にしても何?この蒸し風呂みたいな店内は。

今年の夏は例年より暑いというのに、こんな夜中に呼び出しやがって…この男は。



スマホの受話器から「らーめんデート」って言葉を聞いたとき、「宇宙人が開発した単語かよ」って本当に疑った。


けど、何か断れなかった…。



目の前のカレシと言われるこの男は、ただひたすらラーメンを食している。


わ、私もさっさと食べよう。せっかくの麺が伸びてしまう。

このラーメンは味は悪くない、というか美味しい。それにこの蒸し暑さも、次第に悪くないかもと思った。



と思った矢先だった。


「替え玉一つ〜!」


は、はぁ〜!?この男、まだ食べる気かよ!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る