ちょっと俺にはキツすぎた(チンチラ転生閑話)
都鳥
ちょっと俺にはキツすぎた
おっす! オラ、チンチラ! 名前は「るぅ」。
姿形ははこんなに可愛い(自画自賛)チンチラの俺だが、実は前世の記憶がある。
前世の俺は「リュウ」と言う名のチンピラだった。
チンピラがチンチラに転生って、一文字違うだけで大きな違いだぜ。
最初はそりゃあ戸惑ったが、今ではだいぶ割り切っている。多分。
今日の俺は舎弟のチンチラたちとオンライン集会だ。
パソコンを使えば遠くにいる仲間たちと画面越しに会話ができる。ホント便利だよな。
る「よっし、じゃあ当てるぞ」
A「るぅさん! ぼくの!ぼくの!」
る「(無視)まずは、Bからだ…… 水玉!!」
B「残念でち、しましまでちたー」
A「ぼくの! つぎぼくの!!」
る「ぬぬぬ…… じゃあCはピンクのレース!」
C「あたりでち!」
る「……やったぜ!」
何をしているかって??
飼い主(女性に限る)の下着の柄当てに決まってるだろう!
B「るぅさんはなんでこんなことをしてるんでちか?」
る「前にも言ったが、野生の勘を磨くためだ」
A「あれでちよね、大ロッカー」
る「第六感な。駅のロッカーみたいに言うんじゃない」
C「なんで下着なんでちか?」
る「外からは見えない物だからだ」
「「「なるほどでちー!さすがでち!! (パチパチパチパチ!!)」」」
もっともらしい俺の言葉を聞いて、舎弟たちが割れんばかりの拍手をする。
ふっ、照れるぜ。
A「じゃー、ぼくの飼い主の下着あててくだちゃい」
……来たよこいつ。
悔しい事に何故かこいつの飼い主の下着の柄だけはよく当たる。
だがこいつの飼い主は男だ。
A「るぅさんはすごいでち、今までたくさん当ててるでち!!」
てか、男だからかバリエーションが無さすぎなんだ。
縞かチェックしか選択肢が無いことはわかっている。
しかも当てても全く嬉しくない。むしろテンションがだだ下がりになるのだ。
いや、まてよ……
そうだ、当てようとするからいけねえんだ!!
縞かチェックしか選択肢がないんだ。あえて外してやる!!
る「よし…… 当てるぞ……」
A「わくわく」
る「く、黒だ!! ……黒のビキニ!!」
A「正解でち!!」
ぶはっ!!!!
ヤツの言葉に盛大に吹き出した。
おっかしいだろう? なんで当たるんだ!?
いつも縞かチェックのトランクスだったはずだ。
A「いつもは集会の前にしょうぶぱんつとかに履き替えてるでち。今日はさっきおちごとから帰ってきたからお着替えできなくていつものまんまだったでち」
そう言ってヤツは、飼い主のであろう縞のトランクスを画面内に持ち込んだ。
それを画面越しに見て「きゃーー!!」と声を上げる飼い主たち(女性陣)。慌ててトランクスを奪い取って隠すAの飼い主……
んなもん、わざわざ見せんじゃねえよ。
……そして知りたくなかったぜ。ヤツの飼い主がわざわざ勝負パンツに履き替えてる事を。そして普段はビキニパンツを履いている事を……
その日俺は、前世の俺がビキニパンツを履いている夢を見た。
ちょっとだけ後ろが食い込んでいて、どうにも具合が悪かった。
ちょっと俺にはキツすぎた(チンチラ転生閑話) 都鳥 @Miyakodori
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