焼き鳥戦士

第1話 戦士登場

俺は猿みたいな顔をしている。中学2年のとき、赤塚和也（あかつかかずや）ってダチが秀吉ってニックネームをつけた。丁度、大河ドラマ『秀吉』をやっていた頃だった。「心配ご無用」と竹中直人の真似をしてクラスメイトを笑わせたりした。

　高2のとき、太田駅の前で赤塚にバッタリ会った。彼女ができたらしく、エッチをしたらしい。「ガキが出来ないか心配だ」

「心配？ゴム用」

「笑わせんなよ。佐伯（さえき）は将来どうするんだ？」

「決めてない」

「俺とお笑い芸人目指さないか？」

「めんどくせー、俺、人前出るの嫌いだ」

「そっか」

　俺はパソコン部だったが、サボってばかりでたまに出てもエロいDVDを見たり、ゲームをやるくらいだった。バイオハザードのパクり作品、パイオハザードは特に面白かった。

　家に帰り、漫画を読んでるとおふくろが「武夫（たけお）ごはんだよ〜！」と下の階から叫んだ。

　階段を降りて、洗面所で手を洗い食卓についた。

　カレーライスだった。

　俺は溜め息をついた。

「食欲ないの？」

　おふくろが眠そうな顔で言った。

「いや、学校でさ体がデカいことをバカにされたんだ」

　俺は190Cmもあった。

「いいじゃない、私なんて150しかないんだから」

「ドラえもんのスモールライトで小さくしてもらいたいよ、ドラえもんがここに来てくれたらな〜」

　カレーにソースをジャブジャブかけていた親父が、「あんな青い顔の化け物がその辺にいたらヤバいだろ？」と真顔で言った。

　俺は思わずお茶を口から噴き出した。

「きたねーなぁ」

　親父が顔を顰めている。

　1999年7月14日 - 浜崎あゆみが『Boys & Girls』でブレイク。そのファッションも話題になり、歌姫・ファッションリーダーになる。

　同日、鈴木あみがTMNの『BE TOGETHER』をカヴァー。

　あまりにも暑いからクーラーをつけようとしたら、親父に電気代がもったいないと叱られた。

「うるせーんだよ！」

　反抗期の到来だ。

　俺は親父にボコボコに殴られた。

　時間は遡るが、この年の3月27日、NHK総合『爆笑オンエアバトル』が放送開始、そこからドランクドラゴン、アンジャッシュ、アンタッチャブル、ダンディ坂野などがブレイク。

『シャッターを 押ーす！』という写ルンですのCMが面白い。田中麗奈・ザ・ドリフターズ・荒井注が出ている。

　10月6日(水)からテレ朝で『はみだし刑事情熱系4』がはじまった。柴田恭兵や風間トオルが出ている。

「はみだしチンコ情熱系」と、放課後の教室で帰宅部仲間の長崎晴哉（ながさきはるや）と馬鹿なことをやってたら、憧れてる松本靖子（まつもとやすこ）が入って来た。靖子はテニス部で晴哉も好意を抱いていた。

　このときのことが原因でラブレターを渡したがビリビリに破り捨てられた。

　紅白をコタツに入りながら見た。

　ノストラダムスの予言と世紀末ブーム - 「1999年7月に世界が滅亡する」という、1973年の『ノストラダムスの大予言』（作：五島勉）刊行以来日本で続いてきた世紀末予言ブームの期限であったが、現実にはなにも起こらなかった。

　バタンバタン！物音がしたから、外に出たら黒いワゴンが止まってて、2人組のストッキングをかぶった奴らがいて、その中の1人いきなり銃をぶっ放してきて弾丸が胸に被弾……俺は冥途に旅立った。

　冥途で俺は仙人から不思議な能力を授かった。それは、焼き鳥を食べると魔法を使えるのだ。

　俺は翼を広げ元の世界に戻った。翼は地上についたと同時、消えてしまった。

　俺は太田署に向かった。蒲原（がまはら）って哀川翔に似た刑事に「佐伯武夫って少年が最近殺されたと思うんですが」と尋ねたら、「一家の主の佐伯雷蔵（さえきらいぞう）とその妻、和歌子（わかこ）が2人組の殺人犯に殺され、息子の武夫も巻き沿いを食らったんだ」と教えてくれた。

　親父は派遣会社『カルマ』の代表取締役だった。

　派遣切りなどが問題になっていた。仕事を切られた人間が復讐の為に親父やおふくろを殺したんじゃないのか？

　仙人は「成仏したいなら、君を殺した犯人を見つけて恨みを晴らすしかない」と言っていた。