カラフルコメディ

第1話 カラフルコメディ

一

　よし、今の時代、ブラックコメディは流行らない。

そうだ、それなら、カラフルなコメディに挑戦してみよう！

二

　でも……、どうせなら特定の色を決めた方がいいよな。

そうだ！青だ！「ブルーコメディ」なんてどうだろう？

でもでも、気分がブルーになりそうだから止めておこう。

三

　じゃあ、赤はどうかな？「レッドコメディ」はどうだろう？

赤は明るい色だし、少なくともブルーにはならないよな。

それに情熱的な色でもある。コメディに情熱って大事だよな……。

でも、情熱的になり過ぎてもダメだな。力の抜き加減がコメディには大事だ。

やっぱり赤は止めておこう。

四

　じゃあ、黄色はどうかな？「イエローコメディ」はどうだろう？

黄色も明るい色だけど、赤に比べたら「情熱」は感じない。

それに黄色なら注意も引けそうだ。なにせまぶしい色だから。

……いやでも信号の「注意」を連想させるかな？ブレーキを踏まれてもどうかと思うので黄色も止めておこう。

五

　なら思い切って、「ゴールドコメディ」なんてどうだろう？

ちょっとゴージャスな気分になれるし、黄色に負けず劣らずまぶしい色だから注意喚起はバッチリだ！

それにゴールドはお金も連想させる。これが成功すれば僕も億万長者……！いやでも、ちょっと下世話な話になるのでやっぱりゴールドも止めておこう。

六

　ああ、これは困った！結局何色にすればいいんだろう？

僕にはコメディのセンスがないのかなあ……！？

【こうして新しい色を使用するコメディは《カラブル（空振る）コメディ》になってしまいましたとさ！】　　（終）