赤い布
麻耶は、意地悪な女上司のところで働いていた。
仕事が上手く行かないと女上司は、嫌味を言ったりして毎日麻耶を傷つけていた。そんな風だから麻耶は泣いていて、時々退職を考えていた。
周りの人間はというと、麻耶の肩を持つ者もいれば、逆に女上司の肩を持つ者もいて五分五分である。
ある日、麻耶が昼食を食べていると1人の男の子がお腹を空かせていた。麻耶の周りは誰も男の子に食べ物を与えず、食べていた。
そんな男の子を麻耶は不憫に思い、食べていたコンビニのスパゲティを半分男の子にあげた。
「ありがとう。お姉さん!」
男の子は言った。
「いえいえ!」
麻耶は笑顔で答えた。
男の子は、思い出したようにズボンのポケットからハンカチと同じ大きさの赤い布を麻耶に渡した。
「スパゲティのお礼!これお姉さんにあげる!」
「ありがとう!可愛い赤!」
次の日の朝、麻耶は顔を洗い、男の子から貰った赤い布で顔を拭いた。
顔を拭いた後、鏡を見た麻耶はびっくりした。鏡に映っている自分が綺麗になっているからだ。
「え!これが私?なんか女優みたい」
麻耶がいつまでも鏡を見ているので、様子を見に来た麻耶の母親も急に娘が綺麗になった驚いた。
麻耶はその後、普段通り職場に行ったが、同僚達も麻耶が急に綺麗な顔になるから驚いていたため、麻耶は同僚達に赤い布の話をした。
その話を聞いた女上司は、乱暴に麻耶に赤い布を見せろと言った。麻耶は最初は断ったが、3回目で渋々赤い布を女上司に渡した。
女上司は休暇中麻耶から取り上げた赤い布で顔を拭いた。拭き終わり、鏡で見るとそこには老婆のように皺だらけの顔が映っていた。女上司はヒステリックになり、麻耶を強く責めた。
それを見ていた同僚達は心の中で
『あの赤い布はその人の心の中を映している。だから麻耶さんは綺麗になり反対に女上司は皺々の顔になったんだ』
と思っていた。
赤い布の事があってから女上司は職場を辞め、麻耶はそのままその職場で働いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます