第34話

 時刻は昼の12時。今日の昼飯の献立に悩む大助が、ある事を思い出していた。


「あれ?そういえばあの分けわからない豆腐の検証ってしたっけか?」


 魔法を使う事ばかり考えていた結果、大助は大量のハズレアイテムの存在をすっかり忘れていた。


「ええっと。あったあった。これだ」


 適当な豆腐を1つ倉庫から取り出し、まな板の上に置く。


(これ今日の昼飯に使えないかな?)


「…でもな~。これ説明になんかヤバい事が書いてあるんだよ。力とか守備力とかステータスとか絶対ろくな事にならねえだろ」


(こんな時は専門家を呼ぶべきだな)


 放置モードを起動し、暇そうにしているお助けモンスターの姿を探す。そしてそこには丁度良くのんびりとおやつを食べているラビの姿があった。


(そういえばラビとは直接会話した事ないんだよな)


「いい機会だし顔合わせを兼ねてこのトンチキ豆腐についても聞いてみるか」


 ラビにメッセージを送る大助。


<今すぐ俺の部屋に来てくれ。大事な用がある>


「あっ。マスターからメッセージだ。…てえええええええええ!?」


 ラビが椅子から転がり落ちる。


「どどどどうすれば!?クラリア!?クロ!?ちょっと来てください!」


「…どうした?」


「何かあったのか?」


「マスターに呼ばれてるんですが、これって今すぐに行ったほうがいいですよね?でも心の準備が…」


「…ごちゃごちゃ言ってないでさっさと行くべき。というか私も行く」


「私も行くぞ。暇だからな」


「え!?あ、ちょっと!?」


 両脇をクラリアとクロにガッチリと固められたラビが強制的に大助の部屋へと召喚された。


(本当に3人で来やがった。何考えてんだこいつらは)


「…マスター。昨日ぶり」


「いや、別に呼んでないんだが…」


「んおお。暇だから来たぞ」


「…まあいいや。ブレス禁止だからな。あと魔法全般も禁止」


「…ここがマスターの世界」


 キョロキョロと忙しなく視線を移動させるラビに大助が語りかける。


「ええっと、君がラビでいいんだよな?初めまして。俺の名前は金本大助だ。今日はよろしくな」


 大助がニッコリと、彼にしては非常に珍しい営業スマイルでラビを迎える。


「は、はい!えっと、その、は、初めまして!あなた様のお助けモンスターのラビです!種族はマジカルラビットです!よろしくお願いします!」


 どこぞの新人社員のようにペコペコと頭を下げるラビ。その姿をレアな昆虫を見るかのような目で観察する大助。


(かなり緊張してるな。こりゃ本題に入る前に肩慣らしが必要か)


「ふむ。まあ丁度良く3体のお助けモンスターが集まったんだ。ここらで一度、レクリエーションタイムと行きますか」


「…ん?」


「んむ?」


「ど、どういうことですか?」


「___お前ら、ゲームは好きか?」

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