第28話

「おお!?凄い凄い。まるで怪獣映画でも見てる感じだな」


 ラビ、クラリア、クロ。3体の魔物同士の戦いを大助はソファーに寝転びながら観戦していた。様々な魔法が飛び交い、世界が壊れていく。菜園はもうグチャグチャの状態だ。


「ラビとクラリアじゃまだ竜には勝てないか。まああいつSSRだし仕方がねえよな」


(それにしても、ラビはまた進化したみたいだな)


 メインの武装や服装が以前よりも大幅に変化していた。


・マジカル・ラビット


 魔道の深淵に足を踏み入れた兎人族の上級モンスター。多種多様な魔法を駆使して戦う。


(魔法職なのにどことなく戦士用の装備を付けてるな)


 どこかの制服のような服装にローブを身に着け、一振りの剣を腰に差している。


「魔法戦士と言ったところかな。いや~ロマンがあるね!」


 それからしばらくしてラビとクラリアの死亡通知が大助に届く。2体の魔物のステータス画面にはDEADという文字がデカデカと表示されていた。


「クロはまだ生きてるみたいだな。流石はドラゴン。そんじゃさっさと2人を蘇生して働いて貰おうか…な……」


 そこで大助は思い出した。自身がほぼ全てのコインをガチャに使ってしまっていたことに。


「…あれぇ?これちょっとマズくない?」


 大助のスマートフォンにクロからメッセージが届く。


<マスター。やむを得ない事情により2体のお助けモンスターを制圧した。蘇生を頼む。あと私の傷も治して欲しい。このままだと私も危ない>


「…ん~」


<頑張って生きてくれ。今からコインを稼いで助けるからよろしく>


「うん。今日は大事な教訓を得た日だな」


 大助がポッカリ空いた通気性100%の窓から外を見渡す。


「ガチャの回し過ぎはダメだぞ♡マジで人生詰んじゃうから……」


 結局、この日から一週間。大助は1日中植物の栽培に勤しみ、なんとかラビとクラリアを蘇生。クロの治療も完了させた。



 翌日、大助は海へと向かう事にした。軽自動車にモバイルバッテリー、飲み物、食料などを積んでいく。


「実験に必要なアイテムはほとんどアプリの中だ。荷物が少なくて助かるぜ」


 運転席に乗り込み、ドアを閉め、エンジンキーを回転させる。軽快なエンジン音を発生させた後、車を発進させた。


 それから2時間が経過した。代り映えのしない景色に大助の疲労感が蓄積されていく。


(そろそろ休憩しておくか)


 長時間連続して運転するのは危険だ。人間の集中力はそう長くは続かない。適度に休憩し目を休める事が長距離ドライブの秘訣だ。

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