そして野生児は碧眼の姫に出会い、彼女と瞳に恋をした
内村一樹
第1章 野生児と碧眼の姫
第1話 始めて見るもの
一緒に暮らしてたガスと言う名の男が、俺を育ててくれたんだ。
ガスは、俺に色んなことを教えてくれた。
山の
山での生活に必要な
だけど、彼が俺に教えてくれなかったものがある。それは、山の外のことだ。
どうして俺達が山に住んでいるのかも、山の外の世界に何があるのかも。
ガスは
だから俺も、それ以上しつこく聞くことをやめることにした。
だって、ガスと
そんなガスが死んだのは5年間。それからの5年間、俺はたった一人で生活を続けた。
いや、正確には1人じゃないかな。俺には、大切な相棒がいる。
「ダレン!! 右の方に追いやったぞ!!」
「任せとけ!!」
俺に向かってそう呼び掛けて来るのは、俺のバディのノームだ。
ガスが言うには、人間が生まれた時に一緒に生まれてくるのがバディという存在らしい。
見た目は人それぞれで、その
俺の頭の上で髪の毛を
そんな
そうして、
風を切って飛んで行く矢は、まっすぐに狙いを定めた
直後、まるで何かに驚いたかのように
「よっしゃ!!」
「上手く行ったな、ダレン」
「そりゃあな、俺とノームの手に掛かれば、これくらい
「あぁ、
言いながら地面に転がっているウサギの
「
「
「は? 何言ってんだ? 俺の方が多めに食うに決まってるだろ?」
「なんだって? どう考えてもオイラの方が役に立ってただろ?」
「馬鹿なこというなよ、ノーム」
「馬鹿はお前だ、ダレン」
今にも
甲高い悲鳴が山中に響き渡った。
「ん? なんだ?」
「さぁ? 鳥でも
「いや、鳥の鳴き声じゃなかっただろ? やっぱりノームは……」
バカだなぁと言おうとした俺の耳に、
「イヤッ!! ヤメテッ!! 放して!!」
「ほら、落ち着けよ!! 大人しくしねぇと、痛い目合わせるぞ」
やたらと
それらの声を聞いた俺とノームは、
この世界に、俺達以外の人間が存在していること
だけど、俺達はこの15年間で1人たりとも、ガス以外の人間を見たことが無い。
どうして誰も来ないのか、ガスに聞いた時、彼はたった1つだけ教えてくれた。
だとしたら、今の声は外の世界からやって来た人間の
そう
5人の男が、1人の女を取り囲んでいる。
ガスと同じような
それに対して、取り囲まれている女の
まぁ、取り囲んでいる5人のせいで見えてないだけかもしれないけど。
なぜか
組み
対する男達は、全員が短い
この様子から察するに、女は5人から逃げてたらしい。
「さっきの
「そうだな。で、ダレン。ここで様子を見るつもりなのか?」
「ガスがいつも言ってただろ? 見たことのないものを見つけた時は、
「まぁ、そうだな」
「で、あいつら何やってるんだろう?」
頭の上に乗っているノームと言葉を
「さぁ、もう逃げられないぞ」
「放して!! イヤッ!! 痛い!!」
「少しは黙れよこの女!!」
そう言った1人が、女の顔をものすごい
「おいおい、あれ、大丈夫か? 助けてやった方が良いんじゃないか?」
「おんなじこと思ってたところ。ノーム、
「
小さくも
その
「おわっ!!」
変な声を上げながら落下し始めた俺は、
転がれなかったら、
そんなことを思った直後、俺は多くの視線を全身に感じる。
恐る恐る視線を上げると、5人の男が俺の方に
「……えーっと。は、初めまして。ん? この場合は、こんにちはって言うんだっけ?」
「そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ……」
髪の毛にしがみ付いていたらしいノームが、そんなことを言う。
彼の言葉に
目の前で見ると、この男達は思っていたよりも
「あの、何をしてたんですか? その女の人が、痛そうに見えたんですが」
「おい、ガキ。てめぇなんでこんなところに居やがる?」
「あれ?
「通じてねぇのはおめぇだよ!!
「そんなわけないでしょ。死にたくないし」
言った直後、俺は
頭を突き上げられるような
そうして、バランスを
「ごめん。この男が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます