日常詩・人生詩

マサイ嵐

黙々と児童書読んだ小学生

悶々と18禁に耽った中学生

渾々と知識欲で学んだ高校生

訥々と専門書を開いた大学生

を経て

朗々と絵本読み上げるこの人生


息子が誕生 ある日母から発送

されてきたいっぱいの絵本入った段ボール

万国共通 不朽の名作 怪作 話題作

から得体の知れない有象無象まで色とりどり

よりどりみどりに右往左往

読まされ続け毎夜多忙

過酷だよ結構

ベッド脇はすぐ本の山へ

本の裏には小学生になったいとこの名前

決まった主食のある生物の運命(さだめ)およそ無視『はらぺこあおむし』

悪食の7日間 至るスイーツ

唯一無二の二人『ぐりとぐら』

悠々自適週休7日

7日どころじゃない生を謳歌『100万回生きたねこ』


その中に3冊

『ピノキオ』

『リトルマーメイド』

『いいこでねんねできるかな』

他より古い本に違う名前

5歳で死んだ俺の姉の名前

当時2歳だった俺の記憶はほぼ失われ

でも本には油性ペン

母の字で太い線

はっきりと残っている

熱いものが込み上げた

母はどんな気持ちで

この本を俺に読んでいたのだろう


今では俺がお父さん

誰の名前が書かれているか

息子もひらがなが読めるようになったら知るか

いつか来る時どう伝えよう

もう会えないおばさんのこと

深い深い眠りの前 今夜のお話に本はいらないな

「むかしむかしパパにはおねえちゃんがいました…」

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