はいは〜い♪こちらデリバリーサービスとなっておりま〜す!ご注文はなんですか?ピザ?ラーメン?そ・れ・と・も〜…鉛玉ですか〜♪

デルタイオン

第1話 デリバリーサービス

ああ、もうダメだ。


そう思う時は必ずある。


人との付き合い方を間違えてしまったり、大事な事を忘れてしまったり。


しかし、そんな時は本当にもうダメなのだろうか?


俺はこう思う。『まだ修正が効く』と…


しかし、どうもこの状況はそうでは無いようだ。


「キャハハハ♪アンタ…アンタアンタアンタアンタ!!殺すわ…今ここで…!!」


「来るな…来るなよぉ…!?」


なんなんだコイツは…父も母も殺して…なんなんだよ…なんで俺達を殺すんだよ…


「なんで…なんで俺達を…」


「…邪魔」


邪魔?なんの邪魔だ!?


俺が一体何をしたというんだ!?


「私達の愛を妨げるアンタが邪魔…だから殺すの…苦痛に染めてから殺す。アンタがあの愛しい人の弟なのがいけないのよ…」


弟!?まさか、お姉ちゃんが狙いか!


「お前…俺の姉をどうした…」


「えぇ?もちろん私がしっかりと管理してるわ…貴方達よりも楽しい人生を送ってもらうの…私だけが頼りになる。私だけが必要な世界に染めてあげるの…」


…コイツは、狂ってやがる。


なんで…なんで人殺しをそんな理由でするんだよ…


愛って…そんなに歪な物なのかよ!?


「狂ってる…狂いすぎてるよ…」


「………狂ってる?」


「ああ、狂ってるよ…それじゃあ、一生お前は姉を理解出来ない…できっこないよ…」


「理解…?いいや、私があの子の事を一番理解してる一番近い所に存在する!お前に…お前に何がわかる!?」


くそったれめ…この女狐、俺の転生ライフをここで終わらせる気だ…


俺は…俺はこんな所で終われるかよ…


せっかく死んで転生したのに…また人殺しかよ…


「わかるさ…お前とは時間が違うんだよ…」


「コイツ、コイツコイツコイツコイツコイツ!!?殺す、殺してやる…この世から消し去る!跡形も無く消して記憶からも消してやる!!」


ああ、これはダメだ…


もうダメだな…スゴいな…死に際はこんなにも時間の流れが遅いのか…


『ピリリッ』


ん?電話の音?


いや、こんな世界に電子音なんて存在しない…ならステータス画面からか?


『ピリリッ』


ああ、ステータス画面からだ。


…誰が電話なんかをしてきてるんだ?


『ピリリッ』


まあいい…愚痴を聞いてもらえるなら出るか。


『はいは〜い♪こちらデリバリーサービスとなっておりま〜す!ご注文はなんですか?ピザ?ラーメン?そ・れ・と・も〜…鉛玉ですか〜♪』


なんだ?デリバリーサービス?こんな中世みたいな所に?レンガが主流な街に?デリバリーサービス?


『聞こえてますか〜?早く注文言わないと…貴方死んじゃいますよ?』


注文?メニューは?


『いまさっき言ったじゃないですか〜。もう、ピザ、ラーメン。何が良いですか?』


ん?もう一つ無かったか?


『え?ああ、ありますよ?それ頼みます?料金高いですよ〜?』


鉛玉か…この際なんでも良い。助けてくれるなら幾らでも払う。


『それは〜……なんでもですか?』


なんでも?


『そう、例えば貴方の大事なスキル。レベル。他にも大事な物や人…家族とか!』


ッ!?


『もちろん、貴方自身の命もですよ〜』


…お前は、悪魔か?


『ええ〜悪魔だなんて酷いですよ〜?これは対等に見せた取引なんですよ〜?』


…なら俺のレベルをやる。


『たかが130レベルで釣り合うとでも?』


クッ!ならスキルだ!好きなだけ持っていけ!!


『いやいや。そんなスキル全部ありますし…本当に取引する気ありますか?』


………なら、何が良い?これが俺の出す物だ。


『………』


…どうした?


『いえいえ…そんな交換初めてでして…良いですよ。そんな高価な言葉を聞いたのは初めてでしてね?ちなみにお釣りはありませんよ?』


釣り?いい、もう全部持ってけ…


『ありがとうございま〜す!!じゃあ、狂いましょうか!』


狂う…?


『えぇえぇ!狂いましょう!!貴方から主役を取りますよ…貴方はお客様で、我々は主人公に…』


主役?主人公?まさか、お前達が取ったのって!?


『ではでは〜代金は頂いたのでしっかりと働きますよ〜!』


…本当に働くんだな?


『ええ?もう働きませんよ?殺しましたし…』


「え?」


目の前を見ると頭から血を流して倒れている獣人の狐が居た。


コポコポと頭から血が溢れて体は痙攣している。


『では!』


そしてステータスボードが粒子になって消えた…


それを確認した私は電話を掛けた。


『いや〜いつもご苦労さま!報酬は…本当に私に会うだけで良いの…?』


「ハグとなでなでを要求する」


『ええ…まあ、お釣りとしてお金も渡しとくね?』


「わかった…じゃあ、待ってる」


『ほいよ〜』


そして電話は切られた。


…楽しみだ。

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