眼光炯々

 ---すべてが、たのしかった。


 そらはなんで、いつもいろがちがうんだろう?そらにうかんでるしろいのは、くも、っていうのか…いっつもかたちがかわってて、みててたのしいな!


 ---そらをながめてたら…おなかがへってるの、きにならなくなるかな……


 そうだ、ぜんぶたのしいんだ…つらくなんかない………---




 真白はその手の刺股さすまたを横へ縦へと一心に振るうが、光はその攻撃を武器も使わずにけている。「君じゃダメだよ、ほら、黒いのと変わりな。」光が手をかざすと光が溢れ、真白の目がくらんだ隙に彼女の腹を蹴る。大きく後ろに飛ばされた真白。


 「弱っちいなぁ〜、今まで僕が戦ってきた具情者の中でもとびきり手応えないよ~君?」呆れたように笑う光。


 「へぇ…ならあたしはどうっすか?」髪が黄色に変わった真白こう、情力「黄粱こうりょう一炊いっすい」を使った身体強化により、超高速で光へと接近する。


 「黄色!?白黒以外にも変身出来たんだぁ〜!」少し驚きながらも光剣で真白こうの一撃を受け止め、余裕よゆう綽々しゃくしゃくの光。


 「大体それ光ですよね?何で鉄で出来たこの武器受け止めれるんすか?」「何でかなぁ〜、僕にも分かんない♪」そう言って真白こうを押し退けると、光は橋を蹴って大きく跳び、空へと向かった。


 「…」真白こうの髪が赤くなり、一旦刺股を分解して直棒と曲棒に分けた後、曲棒を腰のホルダーへと片づけた。そして持ったままの直棒、その棒身を、水が超高速で循環し始める…真白あかお気に入りの獲物「ウォーターチェーンソー」だ。真白あかも光を追うべく水を操作して宙へと浮かび上がり、そして月が照らす夜空の下、二人は静謐せいひつに対峙する。


 「赤色…くはは、まさに君がいるんだねぇ、まるで空みたいだ!」「水鉄砲!!」敵意剥き出しの真白あかは光の言葉を無視し、人の半分程度の大きさの水球を彼女目掛けて打ち放つ。「…光状網こうじょうもう。」光が呟く、すると彼女の目の前に、極めて細かい格子状の光網ができ、真白あかの水球が文字通り水泡に帰してしまう。


 「黒が言ってたろ、その顔で二度おれ達に話し掛けんなって。てめぇは大人しく、無様におれ達に甚振いたぶられてりゃいいんだよ…てめえがおれ達の両親にしたようになぁ!!」怒気をはらんだ目で光に斬り掛かる真白あか、対する光はその斬撃を、またしても光剣で受け止めた。


 「掛かったな!水天幕すいてんまく!」真白あかの声と同時に、二人の頭上に水の膜が円状に形成される。「針水はりみず飛沫しぶき!!」その天幕から雨のように細長い水滴が一気に降り注ぐ。「おおっと!」光は光状網を頭上に展開し、その攻撃を防ごうとしたが…


 「はっ!水を舐めんなよ、万物の根源だぜ!」その水滴は網をすり抜け、光の身体のあちこちを切り裂いた。「塵も積もれば山となる、ってな!宣言通りズタズタに…!?」しかし、光の身体にはほんのかすり傷さえも付いていない。


 「どういうことだ…無傷だと!?」驚愕に目を見開く真白あか。そんな様子を可笑そうに見つめる光は、剣を持っていない方の手を少し後ろに引く。するとその手のひらに光子が収束し、やがてリング状の光塊となった。


 「光輪こうりん回し。」


 ボールを投げるようにその手を振りかぶる光、その光輪は恐るべき速さで真白あかの腹部に命中し、光が不敵に笑みを浮かべる。「残念、そんなちゃちな攻撃じゃ…この僕を傷つけることなんて出来ない。」

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