騙し合い
その頃、廃墟と化したビルの中にて。
金属がぶつかり合う音、そして銃声が
「よく避けるな…視界一つで。」ワイヤーを使った軽い身のこなしで、
(こいつ…よくよく考えたらわたしと相性最悪じゃない!あの高飛車白髪、もしかしてわざとこの組み合わせを…?)観錯は瞳のことを思い浮かべて邪推する。(…まあいいわ。さてどうする…ここまでのやり取りから、あの性悪を幻術に落とす為には分割された全ての視界を同時に見る必要がある…それは分かってる、でないとたとえ一つの視界を支配しても、別の視界によって幻術が無効化されてしまうから…)分目の攻撃を掻い
突如、観錯は脚を絡ませて
(あの腹黒、本当に転んだのか…?いや、これは罠だ…敢えて隙を見せることで、こちらの攻撃を誘発しているんだ………
……そう見せかけてこちらの手を止めさせ、逆に攻撃する算段だ!)瞬時に脳をフル回転させ、分目はその結論に至る。
(はっ、随分と舐めた真似をしてくれるじゃないか…この程度の駆け引き、寝起きの脳トレにすらなりゃしないね!この状況において適切な行動、それは…攻撃だ!!)腹の読み合いを制し、勝ちを確信した分目……しかし、現実は彼女の思い通りにはならなかった。
「…隙みぃ~っけ!!」
口が裂けたように口角を上げ、観錯はなんと分目の放った銃弾を避けた。そしてそのままの
「!?…ぐぁぁぁ…っ!!」何が起きたかさっぱり分からない困惑の表情と、脚を刺された激痛に
「どうやら読みが外れたみたいですねぇ~、さっきの「腹は読めたぞ!」ってあなたの顔!ホント傑作でしたよ~!!」悪魔のような笑い声をあげ、観錯は続ける。「集中力が乱れると、例の分割視界の光は立ち消えるらしいですね…嗚呼、情力とは、感情とはなんとままならないものでしょう!」
憎々しげに分目は観錯を見上げる。「やはり…罠だったか…!」「あなたの思考は手に取るように分かります、大方「攻撃を誘っているのだろうか、否、一瞬の迷いでこちらの手と思考が止まることを目論んでいるんだっ!」とでも考えていたのでしょう!何故自分の思考が読めるのかって?私ならどうするか、って考えればいいだけなんですから!」そう言って今度は、ナイフとは反対の手に持った銃の先をゴン、と分目の頭に押し当てる。
「わたしは慈悲深い人間です…たとえ敵といえど、辛そうなお顔は長く見ていたくありません…あぁ、胸が痛みます…」言っている内容とは裏腹に、「ニタァ」と嗜虐的な笑みを浮かべている観錯。「それでは…
廃ビルに、銃声が
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