第23話

 合唱祭まで一週間と一日に迫っていた。優香の誕生日が丁度一週間後にあり、合唱祭はその翌日だ。


 航達は、僕らの予想を覆し、サッカ―をした次の日から練習に参加するようになった。ただ参加したところまでは良かったものの、練習中にふざけたり戯れあったりしていて、クラスからは邪魔者扱いされてしまっている。


「航、邪魔するなら、帰ってよ!」

「うるせーな、お前らが来いっていたんだろ」

「練習しに来いって言ったの」


 真美と航が口喧嘩をしている。


「ていうか、晃、学級委員なのになんでサボってるのよ」

「いや、もう僕達、上手だから練習しなくても大丈夫かなって…」

「いくらやっても足りないわよ。そんなんじゃ優勝一組に持ってかれちゃうよ」

 

 学級委員同士で言い合っている。すると航が横から口を出した。


「晃には俺が来てもらうように言ったんだよ。こいつキーパー上手いからさ」。

「あー、サボってサッカーしてるじゃない。習い事だーとか言ってたクセに」

「やばっ」


 新学期に比べてクラスは見違えるほど明るくなっている。

 相変わらず石神は合唱際には全く口を出さず、全て林先生が担当してくれていた。


 練習では、僕らは本当に完璧だった。少し問題を抱えてはいるが、クラスの雰囲気もいいし、それぞれがそれなりに頑張っている。

 葵と里帆が喧嘩し、航達も練習をサボっていた。だけど、その全てが間違っていると僕は思えない。この合唱祭はそれを証明するチャンスだった。


 練習をギリギリまで行っていると、あっという間に下校の時刻になっていた。優香の誕生日も一週間後に迫っていたので、僕は美来に誕生日プレゼントの絵のことを確認しに行った。


「美来、絵はどう?」

「うん。もうできてるよ」

 美来は帰りの支度をしていたので、一緒に帰ろうと誘った。

「今日も買い物行くの?一緒に帰ろうよ」

「ごめんなさい。今日は急いで帰らないといけなくて。また明日ね」

 そう言って断られてしまった。


 なんだか今日の美来は、いつもよりも険しい顔をしていた。

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