わたしのおばあちゃん

砂藪

予言するおばあちゃん

 私のおばあちゃんには第六感や予知能力と呼ばれるような力がある。

 子どもの頃、懐いていた私におばあちゃんはいろんなことをこっそり教えてくれた。


 嫌な友達が学校にいると「その子はきっと痛い目に合うよ」と言ってくれた次の日にその子が交通事故にあって学校に来なくなって、最終的にその子は遠くの学校に引っ越していった。その子のその後については聞いたこともない。誰も話す人はいなかったから。


 他にも隠したへそくりの位置を言い当てたり、私が埋めた宝物の場所を言い当てたり、おばあちゃんは私にとって憧れだった。いつか、私もおばあちゃんみたいな人になると言うとおばあちゃんは嬉しそうに笑って、私の頭を撫でた。



 おかしいと思ったのは中学生の時、お父さんと大喧嘩をした時、おばあちゃんに泣きつくと「そいつはきっと痛い目に合うよ」と言った。次の日、お父さんは屋根の修理の途中足を滑らせて屋根から転げ落ちて病院に運ばれた。


 幸い命に別状はなかったが、右足を骨折していたみたいだった。病院に行ったお母さんから話を聞いて、私の心臓は止まりそうになっていた。


 私は慌てて、おばあちゃんのところに行った。

 なんでおばあちゃんはお父さんがひどい目に合うって分かっていたのに、それを見ているだけだったのと私は泣いた。おばあちゃんはにこにこと笑っていた。もうすでにお母さんやお父さんが話題にも出さないそのおばあちゃんと関わってはいけないと私の第六感が警告していた。


 それ以来、私はおばあちゃんに会っていない。

 そもそも、私の本当のおばあちゃんは私が産まれる前に亡くなっている。あの空き家に老人が一人で住んでいないのも知っている。

 果たして、あの老婆は私の幻覚だったのか、それともおそろしい何かだったのか。

 今も私は確かめる勇気ができない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わたしのおばあちゃん 砂藪 @sunayabu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ