加奈の笑いは伝染病

永嶋良一

1.笑い茸を探すぞ!

加奈「ねえ、ねえ、聞いてよ、たくみ。町内の安本短あんぽんたん神社だけどさあ。なんかお祭りの準備をしているよ。何が始まるのか知ってる?」

 

巧「なんだ、加奈。知らないのか。注連縄掛神事しめかけしんじがあるんだよ」


加奈「しめかけ しんじ・・何じゃ、それ? 新人の男性演歌歌手?」


巧「お前、わざと間違えてるだろ。注連縄掛神事しめかけしんじは通称、お笑い神事と言われている行事さ。よくテレビで、神社の参拝客が大笑いするコンテストのニュースを流してるだろ。今年からあのお笑いコンテストを安本短あんぽんたん神社でもやるんだってさ」


加奈「ああ、そう言えば、そんな行事をテレビで見たことがあるよ」


巧「それで、お笑い神事で優勝したら、賞金が百万円もらえるんだってさ」


加奈「ひ、百万円ですって!・・私、出るわ。巧、あなたも出ようよ。私たち夫婦で百万円をゲットしようよ」


巧「俺はイヤだよ。恥ずかしい。出るなら、加奈だけが出ろよ」


加奈「仕方がないわねえ・・じゃあ、巧は私が優勝するように協力してよ。妻に協力するのは、夫の内助の功だよ」


巧「ない じ の こう? ああ、『内痔の子』ね。『内痔』って『いぼ痔』のことだろ。加奈は『いぼ痔』だったのか。どれ、お尻の穴を見せてみな。俺が『いぼ痔』を見てやろう」


加奈「お前もわざと間違えてるだろ! そんな暇があったら、笑い茸でも探してこんかい!」










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