1月8日
月光が窓から射しこんでくる。
音楽を聴いている。最近ふと思うことは、自分がいったいどこから来ていったいどこへ行くのかまったくわからないということだ。
あたしはペンを置いて嘆息した。生まれてしまったからには、生きていかなければならない。そういう定めではあるのだけれど。
今書いている小説の主人公が海底で羽や光や火を求めてうめいて、のたうちまわっている。声が聞こえますか。粉雪の深々と降り注ぐこの海底には、なにもありません。私は無力です。主人公は苦しんでいる。
あたしはその姿を上の方から神の視点から眺めてそこにあたしの心のなかをみている気がしている。
わからないよ。
だれに聞けばいい?
だれに頼ればいい?
『自分の直感だよ。自分のハートに従うんだ』
肩に乗っていた天使が言った。
ハートは壊れているわ。
あたしは答えた。
健康的な精神なんかじゃないし、ハートは崩壊したわよ、でもそれはあたしのせいなんかじゃない。確かに。
月光が一瞬揺らいだような気がした。
天使がはばたいてどこかへ行ってしまった。
この世界すら偽物なら、あたしはなにを信じたらいいのだろう?
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