1月6日
バラバラになって砕かれたダイアモンドみたいな美しい記憶が水面に映ってきらきら光っている。水滴が散るみたいに砕けたダイアモンドが舞う。ここはどこだ?日本ではなさそうだ。海が見える。紺碧の透明度の高い海の水。あぁ海。あたしを、記憶を、この存在すべてを飲み込んでくれたら。
白い砂浜。海岸。そこに突如として現れた塔がある。宗教的な紋様の彫られた塔は祈りと崇拝の対象としてそこに建っていた。
おまえは赦されるだろう。
だれかの声が聞こえる。歌うように優しい声だった。
時計塔のような白い建物は遠ざかっていくことなくそこにいつまでもあった。
喪われたものはもう二度と帰って来ないんだよ。
そんな子どもでもわかること、あたしにだってとっくにわかっていた。
振り返ると、見慣れた扉があった。
よくみると自分の部屋の扉だった。
あたしは迷わず扉を開けて自分の部屋に帰った。
ダイアモンドの欠片は、左手に強く握りしめて、まだ持っていた。
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