1月3日

 廃墟が好き。滅んだ楽園みたいだから。

 あたしの頭のなかにはいつもどこかに廃墟がいる。

 あたしの滅んでしまったあたしだけの楽園だった世界がそこに在る。

 あたしたちは、世界を失ってしまった。永遠に。

 そこから一から組み立てて作り直さなければならないのだ。

 あたしたちの楽園を。

 もう二度と帰っては来ないかもしれないあの古の楽園を。

 廃墟をいつまでもさまよっている幽霊みたいな心境ではない。

 廃墟を呆然と眺め、事実を認め受け入れ、そこから立ち上がる決意をしなければならなかった者の末裔として強く生きていくことを宿命づけられたあたしだとあたしは信じる。

 あたしが滅んだらあの楽園に棲んでいたという生きる証人となる最後の一人すらも滅んでしまう。

 決して簡単には死んだりするものか。

 あたしが最後の最後まで生き延びて見せる。

 あたしを作ったご先祖様たちのために。

 








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