マジシャンズ・キャラバン〜一族の異端児、雷光魔法を使って世界を駆ける〜
瑛尋
少年編
第1話 プロローグ
カラーンカラーン
「へい、らっしゃい、らっしゃい!」
「安いよ! 安いよ! 今だけ特別割引してるよ!」
ヒヒーン、ガタガタ
「おーい! どいておくれ〜! 通るぞ〜!!」
「さっ、買った買った! 今がーー」
「あら〜これなんか可愛いわね〜」「どれ〜、え、超可愛いんだけど! おじさんこれいくら?」
「これはーーだ!」
カラーンカラーン
「は〜い。おつりね!ーーだい!」
「うわ! これーー」
ざわざわ
「ーー しいよ〜! ーーの揚げ物は最高だよ〜! いらっしゃい!」
カラーン、カラーン
「もう少し安くーー」
「お客さん、! 分かった!ーーしてやる!」
「へい! お待ちどおさま!ーー!」
「ーーさん、ありがと!」
「ーーさん! そこのおにーさんて!」
「ーー ん? 俺?」
「そーそー! おにーさん! なんかビビッと来ちゃったのよね!なんかすっごい幸せなオーラ? が出て!」
「なになにここ初めて?? すっごい喧騒でしょー? これが毎日なのよ? わあ! 綺麗な目だね! そんなおにーさんにはこれなんかどう? 似合うと思うけど!」
「お姉さん商売上手だね! おー綺麗なピアスだ。分かったそれ買おうかな」
「何年もやって来てるからね〜! おっ太っ腹! 鏡あるからこれ使って見てみなよ!」
「わお!すっごい! 目だけじゃくて顔もかっこいいじゃない!! 隠してないで見せてればいいのに!」
「はは、ありがとう! またいつか来るよ!」
(すごいな……流石露天の町と言われてることだけはある!街の半分が露天で占められてるのはこの町が初めてだよな、ここだったら何でも売ってそうだ。海も見えて眺めもいいし、最高な観光名所だなー)
(はあ〜それにしても……日差しが眩し、そろそろ宿に戻らないと怒られるな)
「ーーください!」
「はっ!ーーからーーって!!」「アニキ!ーーと、ーーく!」
「いや!ーーけて!」
(ん?なんか……聞こえた?)
「きゃ、ーーか! 誰か! 助けて!!」
(あっちか!!)
「おい! 嬢ちゃん。顔見せてみな! おーーべっぴんじゃねぇか。遊ぼうぜ?なっ?」
「へっへっ! アニキ早く連れていきましょうや!」
「そーですぜ! 憲兵が来たらめんどくせえですぜ!」
「い、や! やめてください!」
バサッ
「「「???」」」
「あん?なんだてめぇ!? どっから気やがった!?」「おい! 見世物じゃねぇぞ?」
「道間違っちゃたのかあ? さっさと消えな」
「いやー助けてってはっきり聞こえたからさ。」
バリ、バリバリ
「へへ、なんだヒーロー気取りか?あん? それとも可愛嬢ちゃんでおめぇも遊びてぇのか? 痛い目見ないうーー」
バリバリバリバリ、バゴンッ
「ぶべっぇえ」
ドガンっ、バキバキ、ゴロゴロ、ゴロ、。ジリジリっ。カラン。
「「はっ?!」」
「お、おい、アニキどこいった?」「あ、ああ、あ?」
「ん?君たちの後ろにいるけど?」
「「!?」」
(お、おい、おい、なんだよ突然コイツ……意味わかんねぇ!!ア、アニキなんで、後ろで伸びてんだよ!)
(まてまてまて……! 何が起きた、今の一瞬で、コイツなにしやがった!?)
「んー? どうする君たちは、? ここからそこでぶっ倒れてる人を連れてここから消えてくれれば何もしないけど? 今日は機嫌がいいから見逃してあげるよ?」
「は、はっ! ふざけんじゃねぇぞてめぇ! アニキになにしやーー」
バコンっ
「ふぇぶらっ」
ドカンっ!ガラガラガラガラ
「こっちも少し急いでてさ、!時間無いんだよね……」
「ひっ!! ま、待ってくだせぇ、!
こ、ここから直ぐに消え去りますから! 旦那、勘弁してくだせぇ」
「最初からそうしてくれればよかったのに……。さっさっ消えた消えた」
「あ、ありがとうございやす!!
アニキ!! おい、!お前も早く起きろ。ちっ! 肩貸すからほら!行くぞ!」
(こんなことはどこに行ってもあるもんだな〜)
「あ、あの! 助けて頂いて本当にありがとうございます!」
「いえいえ! こんな路地もあるんだね〜! 気を付けてね」
「はい! あ、お、お名前教えて頂いてもよろしいでしょうか? お礼もさせて下さい!」
ふぁさっ
「いやいや!大したことじゃないので。あ、名前はグレンです。それじゃあ!」
「ひゃっ!」
(か、かっこいい、!)
カラーンカラーン
ーーーーー
「おーーい! グレン兄! やっと戻ってきた……」「ギンさん! グレン兄さんが帰ってきたみたい!」
「やっとか、団長……。商談ほっぽりかすつもりかよ、!」
「ごめんごめん! せっかくだから露天見に行こうと思って」
「グレン……一緒に行きたかったな」「ずっりー!」
「ラピスごめんな。気持ちよく寝てたから、起きる前に帰ってくるつもりだったんだけど、ちょっと嬉しいことがあって子供みたいに舞い上がったみたい」
「なーにー嬉しいことって? その手に握ってる手紙になんか書いてあったの??」
「そうなんだ! ほら!」
ーーーーーー
グレンお兄さま
エルもやっと男の子が産まれました!名前はレン!どこかグレンお兄様に似てる気がします。
グレンお兄様は今はどこで旅してますか?キャラバンは上手く行っていますか?
どこかで笑って幸せに過ごしているんだろうな!
おじいちゃんもお父さんもお母さんもアカシアお兄様もみんな帰省してくる日を楽しみにしてます!
どうかお元気で!
エルティア
ーーーーーー
「よしっ。みんなら聞いてくれ! ここからルート変更して故郷に西から大回りして帰省する! 今決めた!」
「「「「「「「!?」」」」」」」
「えー!!船乗って違う国行くんじゃないの!?」
「はあ〜〜始まった……」
「まあいつもの事だよ、な……」
「うん!またグレンの家族に会いたいな!」
(村の人、みんな元気かな?3年は帰れてないから、驚くだろうな。それにしても小さい時を思い出すな〜)
カラーンカラーン
ーーーーーーー
山々が連なった場所にぽつんと存在する、とある一族の長の子として生を受けたグレン。その希望に満ちた青年の冒険がこの村から始まりだした。
北のアスティア大陸、東のイルベス大陸、南のトールエル大陸、西のベルモンド大陸、その周りには数多くの島がある世界。その中のアスティア大陸北西部にある山地帯。
そんなド田舎、いやド森林の中の村でグレンは幼少期から青年になるまでを過ごしていた。
「ぐれんあにさま〜」
太陽が顔を出し始めていない朝方、大きな声が家の中で響く。
そんな声で目を覚まし、窓の外を見ると木の葉には霜焼けが見て取れる。
「ふぁ〜〜まだ太陽も登ってないじゃないか、あー寒っ」
家の隙間から冷気が漏れている。今年は例年より冬の寒さが強いようだ。
ガチャと何も合図がなく扉が横にスライドすると、そこには黒髪を頭の上にお団子を使った小さな可愛い女の子が部屋に飛び込んでくる。
「ぐれんあにさまもうあさだよ!」
「なんだい、エル。まだ太陽も登ってない。まだ寝てる時間だよ」
プクッと頬を膨らませたエルはグレンを無視しガバッと布団がまくる。
「もう!ぐれんあにさま! もうあかしああにさまはたんれんに向かったよ!」
「こらこら、エルがなりたいお淑やかなお姫様はドアを勝手に開けて布団をがばって捲るのかな?」
「むーぐれんあにさまがおきないからだもん。ちこくのじゅうしゅうはんなんだもん」
(遅刻の常習犯て……。さてはアカシアかアリスが言ってたのかな?)
エルはグレンの手を繋ぎ連れていこうとする
「まってまって、エル。まだ着替えも済んでないよ。着替えていくから先に行ってて?」
グレンは手を離そうとするが、エルは離さずその場に留まる。
「だーめ。そーいってまたふとんに入るつもりでしょ?ここで待ってる」
「ふふ、男の人の着替えを見るのかな? そーいう子はこちょこちょの刑にするぞー?」
「や、にゃはは、さきに、ひゃ、いくから!」
きゃーと逃げるように部屋から出ていく。
「もーエル? 部屋の中は走ってはいけませんよ」
エルが出ていった先から母親のレイの声が聞こえてきた。
「はあー眠いなあ……」
自分の頬を叩きそう言いながらグレンは身支度をして部屋を出るのだった。
「おはよ。かあさん」
「グレンはまた寝坊?もう13歳になったんだからしっかりしなさい。さあ顔洗って、朝ごはんはサンドイッチにしたから鍛錬の前に食べるのよ?」
母親のレイはそう言いながら、背が伸び170cmと13歳にしては背が大きく、無駄のない筋肉でスラッとした息子のグレンの寝癖を手ぐしで治し、ぽんと背中を押して外に向かわせた。
庭に出ると、グレンの肌に冷たい空気が突き刺すように迎えに来る。
「はあー寒い!寒い!エルー水を出してくれるかな?」
はーいと返事したエルは一緒に外の庭に着いていく。庭には大きな桶があり、その上に何かの模様が彫られている青い魔石とそれがはめられている筒状の道具があった。エルはそれに見えない何かを放出するように触れるとジャーーと勢いよく桶に水が流れ始めた。
「エルありがとう!」
「もう、ぐれんあにさまはえるがいないと、なーんもできないんだから〜。おとなになったらえるがおよめさんになってあげるね!」
「そうだね〜。エルは頼りになるなあ!」
そう言ってエルの髪をくしゃくしゃにして撫でると目を細め嬉しそうにはにかんだ。
桶の水を覗き込むと、銀髪で彫りが深い綺麗な二重をした、誰もが口を揃えてかっこいいと言うであろう顔立ちの青年が写った。
冷めてーーと時折身を捩りながら、ジャバジャバと顔を洗ったグレン急いで広間に戻り、サンドイッチが入った包を持ち玄関に向かった。
「母さん、エル行ってくるね〜」
「行ってらっしゃい」「ぐれんあにさま、いってらっしゃい! かえったらエルとあそんでね約束だよ〜」
レイとエルに見送られながら家を出たのだった。
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