涙の湖
影神
お笑い/コメディ 無し
人は辛い時。
悲しい時。
笑いでそれらを吹き飛ばすというモノがある。
今で言うならば。
お笑い番組とか、コメディ映画なんてのを見て。
人々は、笑ったりするのだろうか?
私には、、
それが。
今でも、理解出来ない。
「ははは。」
私は皆に精一杯。
笑って見せた。
皆1「キモい」
皆2「何を笑っているの?」
皆3「馬鹿にしてるの?」
だが。
時に合わない笑顔は。
人を不快にさせるのだ。
「あらあら。
お前さんの笑顔は、とても素敵だね?
、、ずっと笑っていなさい。
辛い時も。
悲しい時も。。
そうすれば、、」
おばあちゃんは、そう言い残した。
辛い、、
「ははは。」
悲しい、、
「ははは。」
こうやって。
何とか乗り越えてきた。
人が笑う様な事を真似して見ても。
自分でそれをやってみても。
全然、、
笑えやしなかった。
「ははは。」
それは、時が経っても。
同じだった。
大人1「人の話を聞いているのかい?」
大人2「なんだね!
ヘラヘラとして!!」
大人3「私をからかっているのかい?」
「ははは。」
そして、ある時。
、、笑う事に疲れた。
きっと。
あの時に。
目の中に栓をしてしまったから。
大好きだったおばあちゃん。
唯一の肉親だったおばあちゃん。
「おやおや。
お前さん。
随分、涙を溜め込んでいるね?」
気付いたら知らない山の近くに居た。
手には見に覚えの無いロープを握り締めて。
「ははは。」
自動販売機の明かりで、
何となくだけ分かるシルエット。
その人の声で我に返った。
こんな所で何をしているんだろう、、
私も。そうだけど、、
シルエット「この先に沈んだ土地がある。
そこで、沢山泣くと良い。
なあに。
誰も見てないから、大丈夫。
誰も来ないし。
誰も、責めやしないよ。」
私は、走り出していた。
まるで、何かに引っ張られているかの様に。
どうして。
何で。
それは、頭で理解する前に。
頬を濡らした。
「あぁあああああ!
あ、、ぁあああ、、!
ああ、ああ、、」
辺りとは、沈んだ場所。
そこへ滑る様に転がり落ちた時。
私は既に、泣いていた。
崩れる様にして泣きわめいた。
「あっぁああ、、、
あぁああああ、、、」
止まらない。
沢山の涙は、蛇口を捻った様に。
ひたすら流れ続けた。
「あぁあああ!
あぁ、あああぁあ、、、」
おばあちゃん、、
ごめんなさい。
上手く笑えなかった。
おばあちゃんが大切にしてくれた。
私の笑顔を、、
私は、きちんと守りきれなかった、、
そして、私の身体は浮き。
気付いた頃には、そこは私の涙の湖になっていた。
「えー。
嘘だよ。」
膝の上に乗った孫が。
私の顔を覗く。
「本当だよ。
だから、辛くなったら泣きなさい。
ちゃんと。
泣いて良いんだよ。」
孫「、、うん。」
悲しみは消えない。
何度も。何度も。
私の側に寄り添って。
何度も。何度も。
繰り返し訪れる。
笑い方を忘れてしまった私に。
孫はこう言った。
「じゃあ。
私が。
沢山、笑ってあげる。
沢山泣いた分。
沢山笑ってあげるね?」
「、、うん。」
素直に。
私は、そのままの意味で受け取った。
そうしないと。
誰かが泣いているのに。
傍で笑っているだけの話しになってしまうのだから、、
11年。
変わった事もあれば。
変わらない事もある。
場所が違えば。
今も戦争をしている。
誰かが亡くなるのは、
もう。
嫌だ、、
湖は、溢れ返っています。
沢山の亡くなられてしまった方々と。そのご遺族に対して、謹んでお祈り申し上げます。そして、私にはこんな事しか出来ませんが。心から哀悼の意を表します。
涙の湖 影神 @kagegami
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