第二部 碧玉の男装香療師は、ふしぎな癒やし術で後宮妃の心に花を咲かせます。

 ――今、この国は変わろうとしていた。



 長年、異国排斥を国の柱としてきた、大陸東の雄『萬華国』。


 この度、新たな皇帝の即位をもって、その頑なだった扉の鍵が解かれることとなった。そのきっかけとなったのは、たった一人の少女――『陽月英』。


 少女は、黒ばかりの萬華国の中にあって、異色とされる碧い瞳をしていた。萬華国の外の色を持つ彼女は下民に身をやつし、重い前髪で瞳の色を隠し、名を偽り、性別を隠し、ひっそりと生きてきた。


 しかしある日、重すぎる秘密を抱え、誰に助けを請うことも出来なかった少女に、一人の男が手を差し伸べた。


 その男こそ、新たな皇帝となった『華燕明』――その人である。




 国を開きたいと願い続けた皇帝と、萬華国において唯一異国を知る少女の出会いは、萬華国に新たな風を呼び込む。


 宮廷医官となった月英は、今日も異国の術である『香療術』を使って、この国を癒やしの香りで満たし、誰かの心に忘れられない香りの風を吹かせる。



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次話はこのあと22時に投稿します

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