すべてはあの青のせい

み、すず

高度1万メートルの空

なぜ、あんなことをしてしまったのだろう。


高度1万メートルの機内で、私はひたすら考えていた。

きっと完璧な青い空と海……あの瞳のせいだ。

はじめて私の身体を貫いた人なのに。

これからの長い人生で、彼に会うことは二度とない。


そう思うと次から次へと涙が落ちてきて、

胸にかけたエコノミークラスの薄いブランケットの上を滑る。

そんな私の様子を、隣にシートに座る親友のサキが呆れ顔で見ている。

端から見た私はまるで、自分自身に酔っている馬鹿な悲劇のヒロインみたいだ。


でも、一生で一度ぐらい、

身も心も焦がれるような出来事が自分に起こってもいいじゃないか。

平凡すぎる私という窮屈きゅうくつからを破って。

一度ぐらいは自分が主役のヒロインになってみたかった。


だから私は思い切って飛び込んだ。

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