こんな世界もクズと歩けば怖くない

kamyu

第1話

 私はミリシラ王国第二王女のマリー

人の心の色が見えることを除いたら普通の女の子、

家族や友人、王城の人たちもみんな優しくて幸せ

です。

 なんて言えたらどんなに良かったか

友人はいないし、王城の人たちはわたしを避け

家族は今は会ってさえくれない。

 そのくせに私の眼は使い道があるから王に会う前に必ず私の眼を通すのだ。


「はぁ〜、たしかに安全面で安心出来るのは分かるけどさー、それだったらもう少し私にも優しくしてもいいじゃない。」

と誰もいない部屋で喋るが当然返ってくる声はな

い、マリーは訪問者が王城にくるときにしか、部屋から出ることが出来ない、それどころか

いつも決まって同じ部屋に連れて行かれる

「でもいいの今日でこんな生活とはおさらばだし」

少なくとも今よりはいい生活が出来ると願って


マリーは窓を開けていきよいよくその長い銀色の髪をなびかせながら宙に身を投げ出した、青い宝石のような目が月明かりに照らされる、

マリーの体は地面に叩きつけられる前に彼女の体がフワッと浮く

「ありがと、風の精霊」

マリーは城壁を抜けて城下の町の路地に降りた

「初めてだったけどうまくいったわね、はぁ〜」

鼓動が聞こえた、思いのほか緊張してたみたいと

思い、胸に未来に希望を抱き足を踏み出す

「さぁ行く、、か、」

だがいつの日も希望は絶望に変わるのは世の常である


それと目が合ってしまったのだ

走った、かつてこれほど全身全霊で走ったことは

ないだろうというほどに走った


それから少しでも離れるために


なにあれ⁉︎、何あれ⁉︎、なにあれ⁉︎

そうつぶやきながら入った誰もいない薄暗い路地で

「おぇえ〜」

吐いた、一瞬だけ見えたその光景により

その衝撃映像を見て

「おぇっ」

この四つん這いで嘔吐する姿を見たら

誰も敬愛する王国の第二王女だとは思わないだろう

「気持ち悪い、あんなのがこの世にいていいの?、神は何してんのよ⁉︎とんでもないの生まれ落ちてるわよ‼︎」

そんなふうに神に文句を言いたくなるような存在

「あの黒い人間はなに?ていうかほんとに人間⁉︎

今までいろんな人を見てきたけどあんなのは初めて!」

マリーは人の心の色つまり本心が見える

胸の辺りで様々色によってあらわれて見える

情熱的な人だったら炎のような赤色、冷徹な人だったら氷のような青色、悪い感情は黒く、逆に善い

感情だと光り輝いて見える

思いが強ければ強いほどそれは大きく見える

だけどあれは、、

「限度てっもんがあるでしょうが、限度が!!」


それはもう常軌を逸していた全身が黒く染まり

もはや火口からでる煙のように体が黒煙が漏れ出でいたほどに

「き、今日は一旦、城に戻りましょう、逃亡は明日でも出来るわ」

そう自分に言い聞かせて震える足でなんとか立とうとしたところで

「大丈夫かい?」

この時、どうして私は振り向いてしまったのだろう

「顔色が悪いけど大丈夫かい?」

死神のような存在から見た目とは裏腹に優しい声が聞こえた、だが

「あっ、あっ、、」

そんなことはどうでもいいのだ

「そ、その、うっ、おぇ〜」

目の前にいるコイツを前にしてしまったら

「あっ、吐いちゃった、、」

「ホントに大丈夫⁉︎」

そう言ってマリーの肩に手をあてた

「いやっ」

その手を振り払った

だが同時に自分がやったことを理解した

次にソイツの姿を見たときには腰が抜けていた

「す、すみ」

許しを乞おうとしたその瞬間

「大丈夫!、よほど怖い目に遭ったんだね、だけど

もう大丈夫だよ。」

普通だったらどんなに心優しい抱擁だったろう

だが

体の震えが止まらない、どんな気持ちでそんなことが吐けるの理解できない

黒い男からそんな優しい言葉が出る、歪さが気持ち悪くて、

「あ〜お前、見えてんだ」

その言葉に思考が凍りついた


「なんで」

「やっぱ、そうなんだ」

カマをかけられたと気づいたときにはもう自分の

運命を悟ってしまったんだ


私、死ぬんだ


王城では自由がなく勇気をだし外に出たら悪魔がいた、救いようがないほどクソみたいな人生だった、


って、終われるわけないじゃない

「風の精霊よ」

終わらせない、終わりたくない

それじゃあなんのために生きてるかわかんないじゃない‼︎

「ソイツをブッ飛ばせーーー!!!」

全ての思いを乗せた一撃

自分の人生を変えてやる、という強い意志そのもの

そんな攻撃になるはずだったのだ


だがいつだって現実は非情である


「なんで?」

困惑した、いつも自分の側にいてくれていたはずの精霊がいなかったのだ

いや、厳密にはいた、ただ逃げた

主人を見捨てて


今度こそ絶望した

「ハハッ」

こんなの笑うしかないだろう

「あぁ本当に救いのない人生だった」

「いや勝手に話進めんなよ、話合おうぜ、

とりあえずウチくる?」


あぁ本当に救いがない、魔王城への招待だ

これからきっと酷く痛めつけられることだろう

死よりもつらいことが待ってるだろうと思った

「後生だ、人思いにやってくれ」

そんなことを言う姫様に、死神で悪魔で魔王な男は

「うわっ、めんどくさ、てかこれで本当に大丈夫なのか俺」

と意味深なことを言い

「まぁいい、とりあえず家連れてくか、ゲロついてるけど」

と言って

死神で悪魔で魔王な男は、世界への呪言を唱える

姫様を引きずって帰還する。


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