第49話

当時7歳だった照平はわけがわからず、混乱して恐怖したことだろう。



「関係はあったの?」



「あるわけないだろ」



照平はそう言い、あたしたちに背を向けて歩き出したのだった。


☆☆☆


「誰かが悪魔山へ行くと、行方不明者が増える」



帰り道、あたしはそう呟いた。



今隣県で起きている事件も、10年前の事件も、共通点があるとすればそこだった。



「どうして?」



隣を歩く透にそう聞かれてあたしは立ち止まっていた。



これはあたしの憶測だけど、たぶんそうだと言い切れる事があった。



「出て来たソレが、食べているから」



そしておそらく、母体となった人間も食べられている。



照平の父親、そして夕夏の友人のことだ。



願いを叶えたソレは母ですら、食事の対象にしてしまうのだ。



だから、あたしもいつかは……。



そこまで考えて振り向いた。



今まで感じたことのない、強い視線を感じる。



すぐ近くに誰かがいるような息遣いが聞こえて来る。



だけどなにも見えない。



「友里、どうした?」



どこかにソレ、がいる……!!



あたしは弾かれたように逃げ出したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る