第21話
☆☆☆
再び目を開けた時、部屋の中には朝日が差し込んでいた。
しばらく天井を見つめてぼんやりとした後、あの出来事を思い出して弾かれたように飛び起きた。
電気をつけて部屋の中を確認する。
いつもと変わらない四畳半がそこにあった。
一度安堵し、それから自分が横になっているマットへと視線をうつした。
昨日、この布団の中にソレがいたのだ。
あれが夢じゃなければ、今もまだ……。
早鐘を打ち始める心臓に深呼吸を繰り返し、あたしは布団を一気にはぎ取った。
そこにあったのは、自分の両足。
マットのあちこちに血痕があるものの、夕べ見たソレの姿はどこにもなかった。
あたしはマットに付着している血に触れて見た。
人間のものなのか、ソレのものなのかわからない。
ふと血痕が残っている場所を目で追いかけてみると、自分のパジャマにも付着していることに気が付いた。
「嘘でしょ……」
泣きそうな声が出た。
まさか、そんな。
もし、そんなことがあったとしたら……。
あたしはゆっくりと立ち上がり、自分の腹部を確認した。
昨日あれだけふっくらしていたのに、今日は元通りペタンコだ。
そして、自分の股の間からポタポタと血が流れ出していることに気が付いた。
絶叫しそうになるのを、両手で口を塞いでこらえた。
震える手でズボンを抜いて下着を確認する。
それは真っ赤に染まっていて、長いヒモがショーツに絡み付いている。
それはまるでへその緒のようで……。
耐え切れず、あたしは絶叫していた。
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