いやいやなんで??召喚した?

 異世界に転移して、魔族を助けたら魔王になった。

 

 魔王とは魔族と呼ばれる人々から選挙で選ばれた、リーダーの呼称だ。

 

 なぜ選ばれたのか?それはジェノサイド、つまり迫害を受けており、希望として選ばれたのだ。

 

 魔族を迫害し、絶滅へ追い込む存在は人間である。そして最大の脅威はエイルに、選ばれし勇者だ。

 

 支えて共に戦ってくれていた魔族の戦士達は勇者の情報と引き換えに皆殺しにされた。

 

 もし負ければ魔族にもう戦える者はいないので女も子供も皆殺しにされるだろう。

 

 魔族を守るために、希望を託して死んでいった者達のために、負けられない戦いが始まる。

 

 だってチート勇者がやる気満々で目の前にいるのだから。

 

 勇者の情報を今一度思い出そう。

 

 職業 勇者 人間 

 

 状態  魔族を絶滅させる祝福

 

 HP  10/10

 

 MP  0/0

 

 STR 9999京9999兆9999億9999万9999

 

 VIT 1

 

 AGI 9999兆9999億9999万9999

 

 DEX 1

 

 INT 1

 

 スキル

 

 神の福音エイルとの約束 効果 勇者のありとあらゆる望みを魔族を殲滅した時に神が叶える祝福。これにより勇者が魔族殲滅を諦めることはない。

 

 主人公補正ただの理不尽 効果 どんなピンチに陥ってもどんな連続攻撃を受けても、必ずHPを1残し、あらゆる状態異常から回復する。異世界であっても舞い戻り、魔族を殲滅する勇気を得る。

 

 

 脳筋勇者め、頭悪すぎて交渉すらで出来ないじゃん!!それに主人公補正とそのオーバーキルな力は卑怯だぞ!!こうなればこちらも奥の手だ。助けて!!魔族の神様企画参加者様!!

 

 

 し~ん、返事はないどうやら参加者はいないようだ。えっオワタ?いやまだなにかあるはずだ!!考えろ!!

 

「そうだ!!エイルなら弱点を知っているはず!!弱点を教えろ!!」

 

 魔王は全力で叫んだ。

 

『呼ばれた?勝つ方法ならあるよ。君のポケットには【G】召喚券がある。それでゴキかやべぇのか、引き給え』

 

 ガサゴソと、魔王がポケットを探ると確かにガチャ召喚権がある。そしてG確定と書いてある。

 

「これは世界が玩具になるからだめだ」

 

『ゴールドとか、出るかもよ?』

 

「絶対に探求神しか出てこないから!!勇者の弱点を教えて下さい!!」

 

『しかたない。本気で攻撃すると地球を割るとか出来てしまうから、全力を出せないのが弱点さ』

 

「そっかぁ、勇者は地球割で手加減してくれるのかぁ。学割みたいだなぁ。ってそうじゃないよ!!本気じゃなくても殺されるから!!他の弱点を教えて下さい。エイル様」

 

『下手に出られると、喋りたくなりますな。勇者は遠距離攻撃手段がないよ!!器用さ御臨終だからね!!代わりにめっちゃ速くて砲弾より早く走れるけど』

 

「やったぜ!!遠距離攻撃で削れば勝てるぞ!!って勇者速すぎ!!弱点克服してるじゃん!!勇者を倒せる弱点を教えて下さい!!エイル様!!」

 

『そんなのあれば苦労しないの!!だからその【G】召喚券だよ?惑星破壊禁止の縛りでやってもらう?』

 

「それなら安心♪だなー。よっしゃ【G】召喚券イケーー!!」

 

『あっ!!それやる!?知らないよ?即刻退避!!』

 

 エイルは逃げ出した。

 

 無駄に無駄を重ねた無駄に洗練された演出がなされ、見事に探求神が召喚される。

 

「しまった!!ノリツッコミのはずが召喚してしまったどうしようエイル?あれ?いない?逃げやがったな」

 

『そんなに怯えなくても、魔族を絶滅の危機から救いましょう全力で遊びましょう大丈夫、惑星破壊はしないよ』

 

「本当ですか!!ありがとうございます。探求神様」

 

 感謝する魔王だけど、ルビは不穏ではある。

 

『先ずは水不足な魔族に水をプレゼントしましょう』

 

 天から水が滝のような雨ではなく水塊が落ちてくる。

 

「有り難い・・・多くない?これ洪水どころでは無いような・・・」

 

『大丈夫ちょっと全大気圏が水没するくらいで惑星は壊れないから、くふふふwww』

 

「ちょっと!?それ大丈夫じゃないやつ!!」

 

『魚は生き残るしwww頑張って半魚人になって下さいwww』

 

「なれるかぁ!!ブクブク」

 

 惑星もろとも水没して魔族も人間も絶滅したのだった。

 

『あー水星に、成っちまったな。水星に水ないけどwwwやり直そ』

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「あれ?凄まじい悪寒が治まらないぞ??」

 

『そんなに期待されたら|探求するしかない遊ぶしかないでしょう』

 

「とりあえずあの勇者を、探求神様が倒しせるように下さい!!」

 

『魔王といえば、やっぱり禍々しい武器ですよね?それで他の誰にも扱えないくらい大きて思いですよね?魔王の武器イメージ。そこで魔王が装備して死ぬと人間族を身代わりにして魔王が死ななくなる。その名も魔剣!!勇者絶対に殺したいソード』

 

「これは勝てるか??」

 

『勇者も人族だから最後は勇者が選ばれる仕様だし勝てるってwww』

 

「ん?ん?魔剣!!勇者絶対にソード・・・殺したいって??気にしないで使うしかないか。にしてもでかいな・・・あれ??重い持ち上がらない!?勇者待って!!装備させて下さ」

 

 魔王は勇者の右フックで魔王は粉々に砕け散った。

 

『あー、やっぱダメかぁ。魔王は軟弱だなぁ。やり直そ』

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『さっきなんで失敗したか?そりゃ腕力不足ですよね?なら増やしましょう!!500本くらい腕をな!!』

 

「悪寒が・・・え?身体中から腕が生えてる!?」

 

『さぁその頭悪そうな、魔剣!!勇者絶対に殺したいソードで戦うのですwww魔王がマジでキモいwwwクリーチャーじゃんwww』

 

「なんでこうなった!?腕が、腕がぁ!!多すぎて邪魔で動けない」

 

『腕がモゾモゾ動いてるwwwこれはダメでしょwww勇者もドン引きしてるよwww』

 

 勇者の投石により魔王は砕け散った。

 

『弱っわ。でも可能性は感じるぞwww。やり直そ』

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『前回の失敗の原因は、腕だけを増やしたことだと思うんですよ。なので魔王の足をケンタウロス化すれば移動出来ると思うんですよね。なので腰から下を馬に換装してと。おっと、馬の胴にもっと腕をつけられるスペースが増えたぞ!!なら限界まで、つけてwww。なにコレwwwあーあ、やっちまったなwww』

 

「悪寒じゃなくて身体が重いぞ!?なんか脚が4本あるけど!?お、重すぎる」

 

 魔王はみっちりと腕が生えており原型すら分からない腕の塊となっている。その多すぎる腕の重さに耐えきれず立つことすらできず崩れ落ちる。

 

『あれ?脚も増やしたのに上手くいかないか?とりあえず、腕力は足りるはずwww!!魔王よその魔剣!!勇者絶対に殺したいソードを装備するんだwww』

 

「腕力は腕の本数の合計じゃないからな!!これはバフじゃなくてデバフだぞ。あと失敗なのとっくの昔に分かってるよな?」

 

『面白いから成功だしwww』

 

「生命に対する冒涜だぞ!!倫理観はないのか!!」

 

『探求神にそんなものは必要ない!!』

 

 勇者の投岩により魔王は砕け散った。

 

『魔王が負けたし、やり直そ』

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『やっぱり重い剣を装備するのは無理があったので、魔王の強化方法を変えましょう。相手は超火力理不尽勇者なので、魔王も超火力にしましょう。どうするのか?弾道ミサイルとか凄い威力ですよね?なので魔王を、第三宇宙速度で打ち上げて、落下突撃して貰いましょう』

 

「いやな予感がする。それ根本的に間違ってるのを知っててやってる気がするぞ!?」

 

『それでは紐無し逆バンジージャンプ行ってみよーwww』

 

「やーめーてーくーれー!!あーーーーー!!」

 

『ところで第三宇宙速度だと、太陽の重力も振り切るけどどうやって魔王は落下攻撃するんですかね?www』

 

 魔王は第三宇宙速度、秒速30000メートルに耐えられず魔王は燃え尽きた。マッハ1で秒速340メートルなので当然である。

 

『あーあ打ち上がる前に燃え尽きたかぁ。やり直そ』

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『燃え尽きたのって速すぎて、空気を圧縮して熱が溜まるからなんですよ。だから魔王にヒートシールドを、付ければ上手くいくはずなんです。ちょうど良いところに、勇者って言う不死身がいるので、ヒートシールドにします。』

 

「「えっ!?、なんでこんなことに!?」」

 

 気がつけば魔王の上に勇者が固定されている。

 

『それじゃバイバイwww逆紐なしバンジージャンプへゴー!!』

 

「「えっ!?あーーーーー!!」」

 

『ところで主人公補正って主人公じゃなくなれば、当たり前だけど機能しません。今の主人公は私です!!だから勇者も燃え尽きますwww』

 

 魔王と勇者は一緒に超音速で打ち上げられて、燃え尽きてしまった。そして勇者が魔王と相討で死んだことで魔族は救われたのだった。


 魔王の死に意味があったかでいえば無かったのであろう。

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